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(左)清水葵 (右)田中絢子

2017年11月、スタートトゥデイから採寸ボディスーツ「ZOZOスーツ」が発表された。

洋服を購入する際、サイズ選びで困っていた多くの人が歓喜。すぐさまツイッターのトレンド入りを果たすほか、発表から10時間で23万着という大量のオーダーが入るほどの賑わいを見せた。

「これからは常に、自分にぴったりな洋服が購入できる」

多くの人がそんな思いを抱える一方で、とある2人の女性は「ZOZOスーツ」の発表を素直に喜ぶことができなかった。

なぜなら、自分たちに合う洋服がそもそもないから──。身長155cm以下の彼女たちは、生まれてこの方、自分にぴったりな洋服をずっと欲しいと思い続けてきた。

くしくも、「ZOZOスーツ」が発表された2017年11月、彼女たちは155cm以下の小柄な女性のためのファッションブランド「COHINA(コヒナ)」を立ち上げた。彼女たちの名は田中絢子と清水 葵。アパレル業界の知識はゼロ、洋服づくりの経験もゼロ。

けれど、経験がないだとか、知識がないだとか、実はそんなことはどうでもいいのかもしれない──。彼女たちのブランドはそんなことを思わせてくれる。

2人に、ブランドを作るに至った経緯や、その育て方について取材した。


経験や知識はゼロ。手探りではじめたブランド立ち上げ

大学生時代に、化粧品などのD2C(※)ブランドを作る会社でインターンシップをし、ブランド立ち上げの一連の流れを見たという田中。友人の清水に、自身のブランドを立ち上げないかと提案した。

(※)Direct to Consumerの略。自ら企画・製造した商品をどこの店舗にも介すことなく、オンライン経由で直接消費者に販売するビジネスモデルのこと。

「ユーザーの声を商品やブランドにダイレクトに反映できるD2Cというビジネスモデルがおもしろいと思っていて。D2Cでブランドを作ってみたいと思ったことが、COHINA立ち上げの発端です。そのときに、まずは自分自身の原体験である“低身長”を切り口に何かできないかと考えました」(田中)

田中と清水は、それぞれ身長が148cmと151cm。小柄な2人は、着る服がないことに以前からずっと悩まされていた。

「いつも、テイストを妥協するか、サイズを妥協するかのどちらかだったんです。たとえばお店で素敵な服を見つけて試着室に行っても、丈が合わない、切り替え位置が下がっちゃう、シルエットがダサくなる。小さい服を取り扱っているお店があっても、可愛すぎたり、若すぎたり。綺麗目なものやカジュアルなもの、年齢を重ねても着れるようなものってなかなかなくって……。

それなら自分たちがほしいテイストの服を作ってしまった方がいいんじゃないかということで、小柄な女性向けのファッションブランドを始めることにしました」(田中)


COHINAのトップページ

作ろうと決めたものの、アパレルで働いた経験も、業界の知識もなかった2人は、手探りでブランド作りに取り組んでいった。商品企画、工場探し、ECサイトの構築……。パターンは友人の母親に作ってもらうなど、知人のつてを辿りながら、ひとつひとつブランド完成までの工程をこなしていく。その中でも一番苦労したのは、生産まわりだったという。

「小柄向け女性服というマーケットが見えていなかったからこそ、工場も私たちも、大量生産する勇気が出せなくって。でも大量生産しないとコストがあがってしまうので……単価を抑えるのにとても苦労しました。工場の方にも、はじめは怪訝な顔をされたりして(笑)」(清水)

市場規模も正確に分からないなんて、一般的な会社だったらそもそも事業になり得なかっただろう。けれど、とにかく自分たちと同じ悩みを持つ人たちに服を届けたい──そんな彼女たちの等身大な原体験や課題意識から、COHINAはスタートした。

経験者じゃないからこそできる「こだわり」

COHINAには、複数のサイズ展開がある。世間一般のXSサイズの中を、さらに詳細に分類しているのだ。

「体型によってシルエットが変わってくるものに対しては、複数サイズを展開するようにしています。たとえばこのテーパードパンツは、4種類のサイズ展開です」(清水)

文=明石悠佳 写真=小田駿一

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