そして今、トルコのファッションは生産のみならずデザインの面でも注目を浴びつつある。
「我々の目下の目標は、国内ブランドの輸出を通じ、トルコには生産力だけでなくデザイン力もあると発信することだ」と言うのは、イスタンブールアパレル輸出組合(IHKIB)の役員、Volkan Atikだ。IHKIBによると現在、トルコの繊維アパレル輸出額は170億ユーロ(約2兆2500億円)で、同国の総輸出額の20%を占める。また、輸出先の75%はヨーロッパの国々だという。
IHKIBを含む複数のアパレル業界団体は3月26〜30日、「メルセデス・ベンツ・ファッションウィーク・イスタンブール」を開催した。同イベントはBanu Bolenのディレクションのもと、イスタンブールファッションの主力分野である婦人服のオートクチュール、イヴニングウェア、カジュアルウェアを中心に展開し、5日間で約150名のバイヤーが参加した。
約60名の出展者の中には、既に国際的な地名度を誇るトルコ人デザイナーもいる。2000年の創業以来、現代女性のための服を作り続けているメタップ・エライディ(Mehtap Elaidi)は、トルコのダイアン・フォン・ファステンバーグと言える存在だ。彼女の服は19カ国で販売され、自身は約200名が所属するトルコのファッションデザイナー協会の会長も務める。
イタリアで経験を積み、2010年にブランド「Lug Von Siga」を立ち上げたギュル・アジス(Gul Agis)もファッションウィークの常連だ。「Lug Von Siga」は、米「モーダ・オペランディ(Moda Operandi)」、英「ハーヴェイ・ニコルズ(Harvey Nichols)」、伊「ラ・リナシェンテ(La Rinascente)」といった著名なECサイトやデパートで扱われている。
これら二人の女性デザイナーの他にも、海外展開を狙うデザイナーやブランドの数は増えており、全国ブランド協会(BMD)のSinan Oncel会長によると、国外のトルコブランドのブランドショップの数は2018年末までに4000店に達する見込みだ。
もちろんミラノ、パリ、ロンドン、ニューヨークといった都市に比べると、イスタンブールはグローバルなファッション発信地としての存在感はまだ薄い。しかし、地元のファッション業界は活気にあふれ、街中でも高級ブランドの「ワッコ(Vakko)」や高級デパートの「ベイメン(Beymen)」などファッションの広告が目立つ。近い将来、これらの広告は世界各地で見られるようになるだろう。