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2018.05.03 15:00

失業率2.4% 高圧経済から考える、日米の今

FreshStock / Shutterstock.com

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日米ともに、実体経済がきわめて好調。しかし、インフレ率はなかなか上昇しないのは、一体なぜなのか。イエレン前FRB議長考案の「仮説」から紐解く。
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3月2日に発表された2018年1月の日本の失業率(季節調整値)は、2.4%(前月比0.3ポイント低下)。図1で示しているように、この水準は、バブル期末期の1993年4月以来であり、労働力不足が顕著になってきた。

失業者数が減少するとともに、それ以上の就業者数が増加する、つまり非労働力人口が減少するという、理想的な動きが続いている。若年層、女性、老齢人口の労働参加が増えている。同月の有効求人倍率は、1.59(前月比変わらず)で、これは1970年代の高度成長期末期の水準に相当。実質GDP成長率は、8四半期連続のプラス成長を達成している。景気の谷、2012年11月から景気拡大が続いている。


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景気拡大最長記録は、2002年1月から2008年2月までの73カ月。来年初めまで景気拡大が続けば、この記録を塗り替える。このように日本の実体経済は、好調を維持している。

図1では、アメリカの失業率も示している。世界金融危機直後の2009年10月の10%から、2018年1月の4.1%まで低下。2000年4月に記録した3.8%を超えて改善を続けると、1968年以来の低失業率になる。

アメリカの実質GDP成長率は、15四半期プラスを維持して、安定的な成長を示している。また、アメリカの景気循環の記録でも、現在の景気拡大は、2009年6月から続いており、2018年6月で9年を経過することになる。これは、史上2番目の長さ。あと一年景気拡大が続けば10年を超え、史上最長の景気拡大期間となる(これまでの最長記録は1991年3月から2001年3月まで継続した10年間である)。

このように日米ともに、実体経済は、きわめて好調。実体経済の活動が活発になると、総需要が総供給を上回り、インフレ率が上昇するはずだ。ところが、2008-09年の世界金融危機の大不況に伴って落ち込んだインフレ率は、日米ともに、なかなか上昇せず、現在に至っている。日米ともに、2%のインフレ目標政策を採用しているが、現実のインフレ率はそれを下回ったままだ。

図2で示しているように、アメリカでは、基調的な変化を示す食品とエネルギーを除く「コア指数」が、世界金融危機以来、2012年初めの数カ月を除いて、継続的に2%を下回ったままだ。2018年1月は1.5%。日本では、世界金融危機のあと、2009年初めにCPIインフレ率はマイナス圏に落ち込み(デフレの発生)、アベノミクスが効果をあらわす2013年初めまで、デフレは続いた。



基調的な変化を示す「新コア指数」は、2010年5月にマイナス1.7%にまで低下。その後、新コア指数がプラス圏に戻るのは、2013年10月。2018年1月は、0.4%である。目標の2%(ただし、目標は、総合指数(図では示していない)の中期的な目標として定義されている)には、程遠い。

日米ともに、実体経済は好調で、景気過熱の一歩手前といえよう。しかし、日米ともに、景気過熱を示すインフレ率の急上昇は起きていないばかりか、目標の2%にも達していない。
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文=伊藤隆敏

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