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2018.04.11 11:30

【編集部厳選】いま注目すべき、日本の「小さな大企業」11選

世界基準の感染症対策シールドを販売するエネフォレスト

フォーブスは2018年4月号で、創業10年以上で売上高100億円未満の価値ある企業を表彰するアワードを創設した。アドバイザリーボード12組の協力のもと、全国から250社を選出した。「カッティングエッジ」「ローカル・ヒーロー」「グローバル」「セカンド・ローンチ」「ベスト・エンゲージメント」の5つのカテゴリーごとに、精査と投票を重ねてユニークな取り組みを行う企業を選定した。

この記事では惜しくもアワードの受賞を逃した、11社を紹介する。アワード受賞は逃したものの、キラリと光るビジネスモデルの11社を編集部が厳選。
いずれも日本を支える「小さな巨人」であると同時に、多くの会社で真似したくなる普遍的な成功要素を備えている。


<カッティングエッジ賞>

世界基準の感染症対策シールド
エネフォレスト/設立:2006年/代表:木原寿彦

「UVGI(紫外線殺菌照射)」方式を採用した空気殺菌装置「エアロシールド」を販売。米国の感染症対策機関であるCDC(米国疾病対策センター)のガイドラインでも紹介され、幼稚園・保育園や救急車内、飲食店などに1000台以上導入されている。

UVGIは高い殺菌効果を持つ一方で人体への影響が心配されていたが、エアコンのように高さ2.1m以上に設置して天井付近のみに紫外線層を展開し、室内の自然対流による空気循環を利用して浮遊菌を殺菌することで、24時間365日安全な利用が可能に。さらに、公共交通機関への導入も検討中。国家主導の大規模災害の対策組織にも参画し、制度面からの感染症対策も推進している。

アイデアドリブンで強度と溶解性を両立
ハッソー/設立:2001年/代表:山田菊夫

紙をベースにした機能性素材開発に強み。高い引っ張り強度と早い溶解性を両立した水解紙を開発、流せるトイレクリーナーとして欧米グローバル企業にOEM供給。また高い吸水性と蒸散性を兼ね備えた自社商品の大人用紙ショーツ「ハッソーケア」を手がける。中小企業の特許出願件数平均3件に対して、152件を出願、63件を取得。知的財産への高い意識が、世界企業との対等な交渉を可能にしている。

<ローカルヒーロー賞>

EC古本屋が届ける本の手触り
バリューブックス/設立:2007年/代表:中村大樹

中古EC発のプロジェクトが、地方で支持。「バリューブックス」は、Amazonマーケットプレイスなどで年間300万冊以上を売り上げる日本最大級の古本売買店。古本チェーン店で安く購入した本を中古ECサイトに流していた個人せどりが、長野県上田市に3つの倉庫を展開するほどに拡大した。

一方で、「ECは買い手の顔が見えない」というアルバイトの一言を機に、病院や幼稚園に本を寄贈する「ブックギフト」や実店舗の運営など、地元密着の活動にも注力し、400人近い雇用を創出。「基盤はあくまでECだが、実売はお客様とのやり取りや手触りが価値。成長産業ではない本の持続性を高めたい」(中村)


予期せぬ本に出会う機会を提供するバリューブックスのブックバス。

地域密着型葬儀社が「もしもの時」を身近に
大の葬祭/設立:1985年/代表:川野晃裕

地域との連携で、「暗くて非日常な死のイメージ」を変える。心の整理がつかない中で比較検討もできずに業者に一任する葬儀を脱し、イメージカラーや祭壇のデザインで故人の意向を反映する「わたしらしく葬」を実施。その基盤が、日頃から葬儀に意識を向ける機会を提供する会員制クラブ「はーとねっとCLUB」だ。

高齢者と家族を対象にした葬儀の事前相談や勉強会で終活への意識を高めるほか、160以上の地域連携店での優待サービスやイベントで、個人と地域、葬儀社のネットワークを密にする。死亡後の部屋の清掃が困難、連絡先がわからないといった老人の孤独死問題を防ぐのは、地域コミュニティかもしれない。

「要介護老人」卒業を目指すリハビリ
エムダブルエス日高/設立:1977年/代表:北嶋史誉


デイケア会社が提供する「ICTリハビリ」が、老化予防だけでなく、要介護認定された患者の「介護レベルを下げる」リハビリプログラムとして注目を集める。蓄積した改善者のデータを基に、患者の病状に似たリハビリデータから効果があったものを抽出・分析し、最適な療法の組み合わせを提供。「客観的データを参照せず、運営側の都合で患者を管理するこれまでの介護施設を変えたかった」と北嶋。

超高齢社会である日本の「介護問題」の解決案として、経済産業省の健康寿命延伸産業創出推進事業に採択。30以上のデイサービスセンターに導入され、各地からの視察も常に受け入れている。

また、介護レベル改善後の生活も見越して旅行会社と提携したバスツアーをリハビリプログラムに組み込むほか、施設内のスポーツジムを55歳以上に一般開放することで、回復して要介護を卒業した高齢者の交流の場に。北嶋が構想する「本当の自立支援介護」は、地域を巻き込んで具現化している。
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文=野口直樹 イラストレーション=(フォリオアート)ムティ

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