「アジアはECや越境ECの分野で急成長を遂げ、デジタル化の潮流の最先端を走っている。この分野のパイオニアとなったのは中国だ。中国の事業者はマーケットプレイスを世界に拡大しようととしている」とペイオニアで東南アジア地域を統括するMiguel Warrenは話す。
ペイオニアは最近リリースしたレポート「Digital Economy in Asia: Insider’s Guide into the Global Opportunity」で、ベトナムやマレーシア、タイ、フィリピンがとりわけ大きな可能性を秘めていると述べた。
「ベトナムをはじめとするAPAC諸国は急速に進化している。この数年、『Lazada』や『楽天』『Flipkart』『Shopee』などのマーケットプレイスが浸透したことで、ベトナムの業者はAPAC圏内でのビジネスを拡大させた。彼らは越境ECの経験を積み、世界中に事業を拡大するノウハウを習得できたとWarrenは話す。
Warrenによるとベトナムは歴史的に製造業や貿易が強く、地元企業は世界中の消費者向けに製品を供給する技術を持っている。さらに、インターネット普及率の高さと労働人口の拡大が組み合わさったことで、EC市場が急拡大した。
現地企業は、経済発展や製造コストの低下を追い風にし、グローバル市場で成功を収める可能性を秘めている。人口9200万人を抱えるベトナム政府は、同国のECセクターが年率30〜50%の成長を遂げると予測している。統計サイト「Statista」のデータでは、2017年に5386万人だったベトナムのインターネット利用者数は、今後4年で6000万人に近くに達すると見込まれる。
国民の7割は銀行口座を持たない
ベトナムを含むAPAC全域では、携帯電話の普及がECの成長を加速させている。これらの国々では人口の大半が銀行口座を持っておらず、モバイルウォレットが重要な役割を果たしている。2014年にはベトナム人の31%しか銀行口座を持っておらず、このことは人々が物販やサービスを利用する上で障害になりかねない。
しかし、「Garena Group」のNick Nashによると、銀行口座を持たない人でもデジタルウォレットを開設することができるようになったことで、東南アジアのECは大きな変革を遂げた。今後、ウォレット決済の浸透によりベトナムの消費者はより多くのサービスを利用するようになる。