荒木:イメージとしてはわかりやすいですが、実行するのは大変そうですね。
箕輪:そうなんです。出版社や書店からうちのコミュニティづくりを真似したいという声をたくさん聞きますが、じゃあ真似してみろよと。僕とNewsPicks編集長の佐々木紀彦さんで開いたイベントが「NewsPicksBook大躍進の下には死体が埋まっている」というタイトルだったように、結局は死ぬ気で働くしかないんです。
中川:ネットの普及でやりやすくなっている部分もあるけれど、人を動かすのは大変だし、本人の魅力も必要だからやはりコミュニティ運営は簡単じゃないですよね。
それでもいまは、編集者が前に出ないといけない時代になっていると思います。これまでは作家が書いて配本制度があったので編集者が甘えることができたけど、「著者を立てる」とか綺麗事を言っていられる時代ではありません。
箕輪:これまでの出版・メディア業界は独占市場だったから売れただけ。これから大事なのはキュレーション能力で、無数にある情報の中から良いものを選べる人物にならなければなりません。
荒木:情報も競合も増えた時代に、編集者がどのように強みを発揮するかということですね。では、最後に一言ずつお願いします。
中川:30年前に出た本をこのような賞に選んでいただけたことが本当にありがたくて。著者のアンドリュー・S・グローブさんは既にお亡くなりになっていますが、ぜひお伝えしたいです。
私も管理職と並行して本を作っていますが、本書を読むとマネージャー・リーダーの仕事とは何なのかがはっきり分かると思います。
簡潔にいえば、それは自分のアウトプットではなく、自分が関わっている人のアウトプットを改善すること。部下が仕事をしないのは上司がモチベーションを刺激しないからだし、「時間がないから教育できない」というのはお腹が空いているのにご飯を与えないのと同じ。マネージャーの心に突き刺さる名言がたくさん書かれています。
箕輪:最近は箕輪編集室がすごく良い組織になっていて。例えば『お金2.0』のポップを作る時に社内に頼むと色々なフローのせいで2週間かかるけど、サロンなら1時間で10案は上がってきます。
つまり、人間はお金をもらっている仕事には嫌々取り組むけど、サロンのような自由に所属している場には自分からコミットしたくなるということ。本来クリエイティブは自主的に寝る間を惜しんででもやるようなものでなければ意味がないし、月1冊ペースでの発刊はそういう場でなければ不可能です。
ホリエモンや僕がやっているサロンは、未来の労働組織の形になると思っています。AI(人工知能)・BI(ベーシックインカム)が普及すれば仕事は遊びに近づいていきます。つまり、楽しい仕事は金を払ってでもやりたいエンタメになるということです。僕らのサロンから、日本全体をアップデートできたらいいですね。
左からサンマーク出版の梅田直希、文藝春秋の衣川理花、SBクリエイティブの多根由希絵、『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』著者の河合雅司、幻冬舎の袖山満一子、日経BP社の中川ヒロミ、幻冬舎の箕輪厚介
【ビジネス書グランプリ2018 投票結果】
◆ ビジネス書グランプリ2018 総合グランプリ
グランプリ『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(西野亮廣 幻冬舎)
◆ ビジネス書グランプリ2018 部門賞
イノベーション部門賞『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(西野亮廣 幻冬舎)
マネジメント部門賞『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』(アンドリュー・S・グローブ 日経BP社)
ビジネススキル部門賞『スタンフォード式 最高の睡眠』(西野精治 サンマーク出版)
政治経済部門賞『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司 講談社)
リベラルアーツ部門賞『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽 幻冬舎)
ビジネス実務部門賞『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』(ピョートル・フェリークス・グジバチ SBクリエイティブ)