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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

Pressmaster / shutterstock.com

「時空を超える、自分を超える 異次元のワークスタイル」と題して“働き方”を特集したフォーブス ジャパン5月号(3月24日発売)。世界中で働く意義が問われているいま、『モチベーション3.0』の出版から7年、著者のダニエル・ピンクとHRスペシャリストの麻野耕司が対談。「人それぞれのモチベーションの源泉を見極めなければならない」と話すピンクが考える、働き方改革に必要なマネジメントとは。(対談前編はこちらから


麻野:企業が従業員エンゲージメントやモチベーションを高めるために、前回の記事で挙がっていた「リアルタイムフィードバック」以外に取り組むべきことは。

ピンク:端的に言えば、「高い目標」「協働する人材のレベル」「貢献感」の3つだ。給与はもちろん大事だが、高い給与だけではダメだ。例えば、ランダムハウスは年間で数日間のボランティア休暇を制定し、その休暇中も給与が支払われるようにしている。また、アトラシアンでは四半期に一度、ソフトウェアデベロッパーたちに何でも好きなことをしても良い時間をつくっている。ルールは、1日のうちに何をつくったか、アウトプットを見せることだけ。これらの共通点は、社員の自律性に委ねられた施策であり、ひいては目的を持つ重要性も訴えている点にある。

麻野:すごく面白い。その一方で日本の経営者の一部はモチベーションへの投資は、ビジネス成果に直結しないどころか、コストが増加するばかりでマイナスな影響すら与えると危惧している。

ピンク:その考えもすごく理解できる。実際、すべての会社において機能しているわけではない。グーグルの「20%ルール」は有名な事例だが、結果的には長続きしない施策になってしまった。多くの会社がこの結果だけを見て、自律的な施策自体をネガティブに受け止めたのだろう。

私も、決して事業戦略を疎かにしてまで、モチベーションへ投資すべきとは思わない。ただ、小さな施策を小さな影響範囲から始めるのであれば、そこまで会社のリソースを使わない。いきなり大きく始めようとするのではなく、まずは小さく始める。そして、きちんと継続させていけば必ず、組織の繁栄に寄与すると考えている。

麻野:会社の事業、所属している社員のことを考慮して、モチベーション2.0、3.0を組み合わせながら最適なバランスを探すべきである、と。

ピンク:そのとおり。どの企業でも必ず成功する、モチベーションの「ゴールデンレシピ」は存在しない。企業は変化していくもの。だからこそ、状況に応じてベストな施策を模索していくべきだろう。20世紀型の「If Then式」の動機付けが機能していた頃のマネジメントは非常に簡単だったが、21世紀はすごく大変だろう。人それぞれのモチベーションの源泉はどこにあるのか見極めなければならないし、彼らが求めているものを見せなければいけない。

文=伊勢真穂 通訳=川本麻衣子 イラストレーション=山崎正夫

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