ただ、共同創業者でもあるライアン・セルキス最高経営責任者(CEO)は正確な調達額を公表しておらず、100万~500万ドル(約1億660万~5億3300万円)と述べるにとどまっている。
メサーリに出資した投資家は、ベンチャーキャピタルのブロックチェーン・キャピタル(Blockchain Capital)やフィンテックベンチャーのアンセミス・グループ(Anthemis Group)、先ごろフォーブスが発表した仮想通貨長者に名前が挙がったマシュー・ロスザックなど。
セルキスが目標とするのは、仮想通貨関連の事業を行う企業の財務情報をまとめたデータベースの構築だ。米証券取引委員会(SEC)の企業財務情報公開システム「EDGAR(エドガー)」のような、オープンソースのリポジトリを作成する。それにより、投資家が仮想通貨関連のプロジェクトが詐欺ではないことを容易に判断できるようにしたい考えだ。
セルキスがこの業界に関わるようになったのは、2013年後半。ベンチャーキャピタル向けのコンサルタント会社を設立、ビットコインに関するニュースレターの発行も開始した。その翌年には、バリー・シルバートによるデジタル・カレンシー・グループ(DCG)の設立に参加。テクノロジーメディアのテッククランチによれば、DCGは現在、最も積極的に仮想通貨の関連事業に関わるベンチャーキャピタルとなっている。
また、DCGは2016年、仮想通貨業界に特化したメディア企業のコインデスク(Coindesk)を傘下に収めたが、この買収事業を主導したのがセルキスだ。なお、メサーリのもう一人の共同創業者は、連続起業家のダン・マクアードル。
正確な情報が不可欠
未成熟な仮想通貨業界には、悪意のある人物も相当数が関与している。セルキスはメサーリの設立を、仮想通貨の資産クラスを引き上げるための重要なステップと捉えている。
仮想通貨に関する評価は多くが合理的に行われておらず、財務構造に関する透明性はほとんど保たれていない。セルキスは、「ほぼ基準がない。情報開示の在り方も散漫で、全く行われていない場合もある」と指摘する。
関連する企業の大半はホワイトペーパーを提供しているが、そこに記載するものについての基準はない。創業者の氏名や仮想通貨の保有量などを明らかにしている企業もある一方で、そうした情報を何も明かさないものもある。こうした状況では投資家たちにとって、デューデリジェンス(査定)も個別の仮想通貨の比較も、非常に困難だ。