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地方発イノベーションの秘訣

Uladzik Kryhin / Shutterstock.com

神戸市は、2016年から、シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル(VC)、500 Startupsと組んでスタートアップ支援プログラムをスタートさせたが、まだまだほんとうの意味でのスタートアップが応募してくるケースは少ない。

同プログラムで選考を担当した500 Startupsのマックス・フラム・シュワルツ氏は、応募リストを前にして、次のように語った。

「日本にはスタートアップがいないのでしょうか? どこかで聞いたことのあるサービスばかりです。世界市場で成長するポテンシャルを持つスタートアップがほとんど見当たりません」

なぜ、シリコンバレーのVCはこう感じるのか。その理由は大きくふたつある。

ひとつは、単純な起業とスタートアップが混同されている点だ。日本では、「ベンチャー企業」という言葉が定着しているが、これには、IT関連であってもウェブ作成やネット広告支援のように既にあるビジネスまで含まれている。また、ウェブコンサルタントなど、はじめからスモールビジネスをめざす起業も多い。

これに対して、シリコンバレーで言う「スタートアップ」とは、最新のテクノロジーを駆使し、これまでに存在しないサービスを生み出し、あっという間に市場を獲得しながら急成長を遂げる企業のことだ。

成功するかは確かではないが、うまく当たれば爆発的に成長する。このような企業では、VCが投資することで初期リスクを負担し、成功したあかつきには投資以上のものを回収する。これをVC投資モデルが適用できる企業「VC fundable companies」と呼んでいる。そしてこれが、シリコンバレーで言うスタートアップだ。

どうも日本では、起業=スタートアップと勘違いされており、本来の意味でのスタートアップが参加すべきプログラムに、そうでない起業家の応募が多いのが現実だ。

ふたつ目の理由は、日本では、国内市場がそれなりの規模で存在することだ。そのために、起業家は、まず国内で成功させようするため、はじめから世界市場を見据えたビジネスが生まれにくい。また逆に、海外で拡大しているウーバーやエアビーアンドビーなどが国内では普及しにくく、日本独自のサービスが生まれてしまうという社会構造の問題もある。

CB Insightが発表するレポート(2017年12月)によれば、時価総額が10億ドル(約1100億円)を超える「ユニコーン」と呼ばれる企業は、世界で239社、アジアでは75社となるのだが、日本ではメルカリのみの1社にとどまっている。

文=多名部 重則

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