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2018.03.01

ビットコインに批判的なビル・ゲイツ、主張が「的外れ」な理由

Photo by John Lamparski/Getty Images

マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツは2月27日、ソーシャルニュースサイト、レディットの「AMA(Ask Me Anything、何でも聞いて)」のコーナーで、ビットコインやイニシャル・コイン・オファリング(ICO)、仮想通貨全般に関する自身の考えを述べた。

ゲイツは過去にもビットコインについて何度か自身の見解を明らかにしているが、今回の発言は"精査"に耐えるものだろうか。以下、ゲイツのコメントを紹介する。

「仮想通貨の主な特徴はその匿名性だが、私はそれを良いものだとは思わない。マネーロンダリングや脱税、テロ組織の資金調達を(政府が)特定する能力は、適切なものだ」

「仮想通貨は(鎮痛剤に使われる合成オピオイドの)フェンタニルやその他の薬物の購入に使用されており、直接的に人の死を招いてきたまれなテクノロジーだ」

まず指摘したいのは、ビットコインの価値命題は匿名性ではなく、規制を受けない点にあるということだ。匿名性を高めていくべきとの議論はあるものの、現在の状況では、ビットコインに匿名性があるとは言い難い。

ただ、モネロ(Monero)やジーキャッシュ(Zcash)など、より匿名性の高い仮想通貨も存在するのは事実だ。ダークウェブ市場で取引する人たちの間では、モネロへの関心が高まっている。

ゲイツはまた、世界各国でのフェンタニルの売買にビットコインやその他の仮想通貨が使われていることを指摘した。米国をはじめ各国で薬物の過剰摂取がまん延しているが、仮想通貨の普及が問題の拡大を後押ししているというのだ。

実際に米司法省は昨年、フェンタニルによる死亡例が複数報告されているとして、最大の闇サイトとして知られたアルファベイ(AlphaBay)の閉鎖を発表している。

AMAでのやり取りに参加したある人は、「薬物の国際的な取引には米ドルも使われている」とコメントした。ゲイツはそれに対し、匿名性のあるデジタルキャッシュには、そうした犯罪行為の効率を大幅に高めてしまう潜在力があると答えている。
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編集=木内涼子

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