では、何をもって現代の株式市場の予知の根拠にすべきか。それは、いま私たちの目の前にある。すでに足元にある革新的技術の開発と応用、つまりアベノミクスの三本目の矢である。金融政策によるマネー需給も重要だが、日本の市場ではすでにそれは一本目、二本目の矢として所与の要素になっている。
人口減少懸念を払拭するIoTと結びついたロボット技術、フィンテック関連の新たな決済技術や投資手段、5G通信の整備と国産衛星の活用で広がる無人運転やドローンなどによるスマート国土の実現、不治といわれてきた膵臓がんなどの難病対応への長足の進歩、日進月歩のバイオテクノロジー等々、革新的技術は枚挙に暇がない。
東京オリンピック・パラリンピックの開催や大阪万博誘致に伴う社会資本再整備の過程にも新技術のシーズは無限にある。特に交通通信システムや都市工学、ロジスティック面でのイノベーションが楽しみである。
技術革新をやや広義にとらえれば、日本のアニメやゲームなどのコンテンツは世界トップクラスである。その海外進出はクールジャパン政策に背中を押されており、急増する海外からの訪問者によるインバウンド消費にも期待がもてる。
昨年は高品質を体現していたはずの企業の不祥事が相次いだ。日本製品への信頼が揺らいだのは事実だが、彼らには原点に立ち返っていただきたいと思う。
暮れの大掃除で、埃にまみれた40年前の仕掛け置時計が出てきた。昔、父が大切にしていた日本製である。父亡き後、20年間電池を外したままであった。冗談のつもりで単一電池2個を入れて驚いた。長針と短針は何事もなかったように動き始め、定刻になるとウィンナワルツのオルゴール音とともに仕掛けの人形が踊り出したのである。時間の動きも極めて正確だ。
私たちの親の世代はこんな奇跡のような技術をごく自然に磨いていたのである。シリコンバレーの革新性や新興国のキャッチアップに、日本の時代は終わったとばかりに自虐的になりがちだが、まだまだ日本技術の底力は健在だと痛感した。
マーリンは言った。「自分を熟知しない者が他人を知ることはできない」。まずは日本が汝自身を誇り高く知ることが、無数の他人によって形成される株式市場を知ることにつながる。
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