ビジネス

2018.02.25

トーキョー・オタク・モード社長の「リスクをとる人生」

トーキョー・オタク・モード共同創業者兼CEO 小高奈皇光

世界に向け日本のオタク情報を発信、経済産業省管轄のクールジャパン機構から最大15億円の出資を受けたトーキョー・オタク・モード。社長の小高奈皇光氏に自身のオタク歴とオタクの“効能”について聞いた。


国外向けに日本のポップカルチャーコンテンツであるアニメ、マンガ、ゲーム、音楽などの情報発信や、関連グッズをインターネットで販売しています。

スタートは2011年3月、共同創業者である亀井智英(現チェアマン)らとともに、週末プロジェクトとしてオタク情報を発信するフェイスブックページを立ち上げ(現在2000万「いいね!」)、翌年4月の「500 Startups」のプログラム参加を機に、米国に会社を設立しました。10月には日本支店を開設、僕は現在CEOを務めています。

「自らも何かのオタクであれ」というのは弊社のクレドのひとつですが、そもそもオタクとは何か? 自分の好きなことを外部に恥じずに、没頭・熱中できる人だと思います。

アメリカのアニメエキスポなどに参加すると、みんな堂々と自分の好きなことを追求している。例えば男性5人がセーラームーンの格好をし、月に代わってお仕置きをしたがっている(笑)。そういう趣味の世界を惜しげもなく主張しあい、互いに否定しない世界観をつくれたらいいなと思うんです。

日本のマンガだってスポ根もの、学園もの、ヒーローものがあって、どれもが存在を許される。そういう考えが宗教観にも通じれば、世界は平和になるのではないか。エンターテインメントはそこに役立てるのではないかと真剣に考えています。

僕自身はというと、中学2年生から30年近く続く、“歴史オタク”です。横山光輝さんのマンガ『三国志』をはじめ、小説、歴史書などは片っ端から読んだし、「信長の野望」や「三國志」などのゲームもいまでも欠かしません。

歴史オタクならだいたいそうなるのですが、徳川家康や織田信長などの王道の武将よりは、例えば徳川氏の家臣で戦に50以上出て戦死しなかった伝説の勇将・本多忠勝のような、一般的にはマニアックといわれる人に興味が移っていって(といっても歴史界では超メジャーですが!)、その人の激動の人生を細かく丁寧に追いかけるのが本当に楽しいです。

歴史にはロマンがある。「たられば」も妄想できます。あとは当時の武将の覚悟に学べる。彼らは明日には攻め込まれて死んでしまうかもしれないという死生観の中で生きていた。いまの時代、仮に人生がうまくいかなくなっても、殺されるわけじゃない。
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構成=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

この記事は 「Forbes JAPAN 次代の経済圏を作る革命児」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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