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Born and educated in Edinburgh, Scotland, I've been traveling...

SpeedKingz / Shutterstock.com

人気アニメ「サウスパーク」の第21シーズンが始まった──。アメリカ社会を映し出す歪んだ鏡のようなこの番組は、迅速な制作体制を活かし、さまざまな時事ネタをほぼリアルタイムで取り上げてきた。しかし昨シーズンは、その同時代性がアダとなった。現実の大統領選に振り回された結果、「サタデー・ナイト・ライブ」のような“トランプ・ショー”と化してしまったのだ。

番組クリエイターのマット・ストーンとトレイ・パーカーは今年6月末、次シーズンでは基本に戻ると約束した。何と言っても「サウスパーク」の真髄は、ディストピア的社会に生きる4人の少年のシュールでおかしな冒険である。

9月13日に放送されたシーズン21第1話「White People Renovating Houses」(家をリノベする白人たち)では、製作者たちは政治色が出すぎないようにしたのか、前シーズンで大統領になったギャリソン先生は出てこない。その代わりに先日シャーロッツビルで起きた白人至上主義者のデモのパロディが登場する。

エピソードのタイトルは、劇中でランディ(主人公スタンの父親。凝り性で色々な仕事に手を出す)がホストを務めるリノベーション番組の題名だ。番組収録中のランディがリビングとキッチンの間の壁を取り払って開放感を出す“オープン・コンセプト”について力説していると、ダリル率いるレッドネックたちが南部連合旗を手に「仕事を奪うな!」と叫びながらやってくる。彼らが抗議しているのは銅像の撤去や不法移民ではなく、AIの普及による業務自動化に伴う失職だ。

デモが注目を浴びることで、番組タイトルでもある「白人」のイメージが悪くなると考えたランディは、ダリルらを家に招き入れ、アマゾンの「アレクサ」などの家庭用音声認識AIアシスタントが行なっていた仕事を与える。「タイルをカートに入れて」といった単純作業を命じられてプライドが傷ついたダリルが抗議すると、ランディはこう言い放つ。

「君は大学に行かなかったのだから仕方ない。炭鉱作業員やトラック運転手に未来はない」

アレクサをエロ用語で調教

AIに仕事を取られる可能性があるのはブルーカラーだけではないが、現実に起きている労働問題をテーマに据えたことは興味深い。ただしエピソードを通して製作者が何を伝えたかったのかは不鮮明である。特にトランプへの当てこすりだと思われる、家の壁を壊すことで問題解決を図るオチは的外れだったと言わざるを得ない。

一方で、主人公4人組の一人であるカートマンの描写は相変わらずの面白さだった。昨シーズンでは唐突に正義感に変身して視聴者を困惑させたカートマンだが、彼は本来、自分自身しか愛せないソシオパスである。最新話のカートマンは自分に決して逆らわず、どんなひわいな単語も繰り返すアレクサに夢中になる。そして対等な関係や対話を望むガールフレンドのハイディに別れを切り出すのだ。

ちなみにカートマンや他の少年たちがアレクサやグーグルホーム(グーグルのスマートスピーカー)に命令するシーンが放映された後、SNS上には視聴者の家のスマートスピーカーが登場人物の声に反応して下ネタを繰り返したという報告が何件も投稿された。この愉快な現象も「サウスパーク」製作者が意図したものだろう。

トランプの影が完全に消え去ったとは言えないまでも、カートマンが自己中なキャラクターに戻ったことで、第21シーズンは古典的な「サウスパーク」を期待できそうだ。願わくは次回、政治風刺を行う時は主張を明確にしてもらいたいものである。それが難しいなら、カートマンの不条理な言動をもっと見せてほしい。

編集=海田恭子

 

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