「優秀さの呪い」 デキる社員が会社を辞める理由

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「賢く、才能のある人材を確保したい」と言う会社ばかりですが、私の経験では違います。前職のような会社は優秀な人材を挫いてやる気を奪い、社員の挙げた成果を認めず、目標をつり上げていくばかりです。

私は今の上司と面接した際、成績の良い社員に報酬などを与えられるかどうかについて徹底的に質問しました。すでに起業していたコーリーには声をかけませんでしたが、前職のチームが受けるに値した待遇を現チームに与えることができうれしいです。

リズさんには、適切なアドバイスと励ましをいただけたことに感謝します。前職を辞めて良かったです。

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転職できたとのこと、私もうれしく感じている。

コーリーをはじめとし、規定された職務以上の役割を果たす社員は「優秀さの呪い」に苦しむことがある。目標を軽々と達成することで生じ得る5つの悪影響は以下の通り。

1. 自分の面目を気にする上司から良い顔をされない。(他の社員も同じように目標達成できるのでは、と周りに思われるため)

2. 直属の上司は満足でも、さらに上の責任者たちは特定の従業員に報酬を与えたくないため、不満に感じる。上級責任者たちは、特別昇給や役職・権限の付与といった報酬を社員に与えると、人材管理が難しくなると思い込んでいる。

3. 同僚は、一部の社員が生産性やイノベーション面で自分たちよりはるかに良い成績を出していることを気に入らない。

4. 仕事のできる社員に、誰も取り組もうとしない問題が集中する。上司も知らずに(または故意に)この問題に加担してしまうことがある。マネジャーの中には、普通の人が40時間かかる仕事を20時間で終えられる従業員には、休憩もできないほど多くの仕事を与えるのが当然だと考える人もいる。

5. 社員が目標を達成し続けていると、上司はそれを当たり前だと思うようになり「コーリーは元々できる人間だ。調子に乗るといけないから、褒め過ぎないでおこう」と考える。

優秀な社員の価値を誰も認めたがらないことは往々にしてある。自分が必要とされていることを社員が自覚すると、さまざまな要求を突きつけてくると考えているためだ。

従業員のありがたみを忘れてはいけないし、チームの部下が各方面から引き抜かれないとも限らない。人材市場が加熱するほど、人材の引き抜きも増える。リクルーターから連絡があって初めて転職活動を開始するような「消極的な求職者」は、多くの組織から好まれる存在だからだ。

責任者が「チームはこう指導すべき」と考えているのに会社がそれを許さない場合、あなたのがしたように転職が必要だ。前雇用先は従業員が辞めた理由を理解するかもしれないし、痛い目に遭うまで何も学ばないかもしれない。

しかし、それは社員が心配すべきことではない。あなたはとうの昔に気持ちを切り替え、自分のキャリアを進めている。

翻訳・編集=出田静

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