「優秀さの呪い」 デキる社員が会社を辞める理由

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以下は読者のコリンから寄せられた便りと、私からの回答だ。


リズさんへ

私は最近、10年勤めた会社を辞めました。

最初は腰を据えて働けるような職場でしたが、しばらくすると状況は悪化しました。勤務を続けながら5か月間密かに転職活動を行い、やっと今の会社に就職できました。今の方がはるかに幸せで、変化を起こす意欲をくれたリズさんには感謝しています。

前職で直面した大きな問題の一つは、優秀な社員を巡るものです。私はマネジャーとして12人の社員から成るチームを抱えていました。3~4人ほど非常に成績の良いメンバーがいたのですが、会社の方針でなかなか適切な報酬を与えることができませんでした。

素晴らしい業績を出した部下に特別賞与や平均以上の昇給を与えたいと思っても、その承認を得るのはとても大変でした。最高経営責任者(CEO)から直々に「あの社員は逃さないように」と褒められた部下を持つマネジャーでさえ、同様の苦しみを味わっていました。

報酬や表彰を与えることなく、優秀な社員はキープできません。私の部下だった3人の優秀な社員は、他社に引き抜かれていきました。優秀な人材の管理に関して不満を感じたのは以下の点です。

1. チームが、副社長の設定した目標を常に大幅に上回っていたのに、社員に報酬を与えることが許されず、それどころか人事部からは「目標が低すぎた」と言われた。

2. チームのメンバーが、上級役員が喜ぶほどの功績を残し、会社の業績アップに貢献したときでも、社員に賞与や休暇、表彰などは全く与えられなかった。

3. 私の元部下コーリーは、とても賢く自律的な社員だった。彼は会社の副社長の一人から話を聞きたがっていたが、なかなか実現しなかった。彼は手のかからない部下で感情的でもなかったが、不満を抱え「これが実現しなければ辞める」と言った。

私は、自分の上司にこのことを伝えた。一般社員と話そうともしない気難しい副社長を説得してもらいたかったのだが、私の上司は動かなかった。彼によると、この分野の専門家であるコーリーに素人の副社長は脅威を感じるだろう、とのこと。

結局コーリーには、力になれなかったと伝えることしかできなかった。私が転職活動を開始したのもこの時だ。
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翻訳・編集=出田静

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