市役所に閉じこもっていてはいけない
後藤が東北OMを立ち上げるには理由があった。遡ること2006年、関西で行われていた自治体職員向けの自主勉強会に参加したが、普段、山形市役所では聞いたことのない用語が飛び交い、その会話についていくのがやっとだった。
はじめは、そのレベルの違いにショックを受け、参加したことを後悔したこともあった。しかし、関西の自治体職員に教えてもらいながらスキルを磨く中で、「いまの枠の中にいるだけでは成長できない」「山形市役所に閉じこもっていてはいけない」と強く感じ、後藤はその後も土日を使い、関西の勉強会に約2年間参加した。
後藤はその経験を山形市役所の後輩にも味わってほしいと思い声をかけたが、LCCもない時代、自費で5万円をかけ、さらにプライベートを潰すことになる会に行こうという職員はいなかった。そこで、後藤は発想の転換をする。「東北内で同じような勉強会を作ってしまえばいい」と考え、仲間と共に東北OMを立ち上げた。
いま、この東北OMの影響が全国に広がっている。日本各地から東北OMに参加し、感化された自治体職員が、九州OM、四国OM、上州OMなど、他の地域でも自主勉強会を立ち上げることとなった。東北内においても山形OMや、ふくしまOMという、県単位で密度の高い勉強会も生まれている。
自治体職員がより地域に貢献する
「2:6:2」の法則と言われるものがある。組織の中には2割の生産性が高いグループと、2割の生産性が低いグループ、そして、そのどちらにも振れるといわれる中間の6割が存在するというものだ。
後藤は自主勉強会の活動を通して、この中間の6割が生産性の高いグループに入っていけるような働きかけを意識している。そうすることによって、自治体職員全体が地域やまちづくりに大きく貢献することを目指す。その高い目標の実現のため、後藤は平日には3時に起床し、休日も半数程度を地域活動や自主勉強会に割いている。
残念ながら、一般人からみた公務員のイメージは決して良いとは言い難い面もある。しかし、後藤のような公務員は日本全国、きっと、あなたの周りにも存在するはずである。
【連載】公務員イノベーター列伝
過去記事はこちら>>