トップ5はここ数年不動の1位中国(735万人)、2位韓国(714万人)、3位台湾(456万人)、4位香港(223万人)、5位アメリカ(137万人)。トップ2の中国と韓国は初めて700万人台を突破した。
なかでも韓国は前年比40.3%増と大きく増やした。これは韓国を訪れる日本人の数が減少傾向にあるのとは対照的だ。台湾や香港での日本への旅行の人気の高さは驚くほどで、人口2350万人の台湾の5人に1人、人口740万人の香港の3人に1人が日本を訪れている。
タイを筆頭にしてアセアン諸国からの訪日客が300万人になったことも、いまや隔世の感がある。人手不足の日本は、東南アジアから技能研修生を多く受け入れようとしているが、訪日する観光客はレジャーを楽しむために日本を訪れているのだ。訪日外国人観光客の国別構成には、以下の3つの特徴がある。
1. 全体の5人のうち4人がアジアから訪れている
2. 欧米からの観光客は10人に1人にすぎない
3. 半数以上は中国語圏の人たち(JNTOの集計によれば、2017年の訪日外国人の内訳は、東アジア 74.2%、東南アジア+インド 10.6%、欧米豪 11.3%となり、中国に台湾と香港、東南アジアの華人を加えると、中国語圏の人たちは半数を軽く超える)
羽田深夜便の増加で夜の国際ターミナルは外国人であふれている
誰のための外国人観光客誘致なのか
外国人観光客がこれほど増えた結果、我々の社会に何が起きているのだろうか。これには明暗がある。まずは明るい話をしよう。
国土交通省の外局である観光庁の統計によると、訪日外国人の旅行消費額は年々伸び、2017年は4兆円を大きく超えそうだ。1990年代前半のバブル崩壊以降、長く減少傾向が続いていた国内の宿泊旅行者数も、外国人の増加で持ち直しつつある。彼らのニーズにつながる商品やサービスを提供した小売や製造、宿泊、不動産などの業界は恩恵を受けている。
国際的にみても、日本は観光に力を入れる国という評価が高まっている。ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)が昨年4月に発表した観光競争力ランキングで、日本はなんと世界第4位になった。これは136の国と地域の観光をめぐる環境や政策、インフラ、自然および文化資源の4つの領域に関する評価から算出されるものだが、日本の強みは「顧客への対応」「(国内の行き届いた)鉄道インフラ」「(魅力的な)文化資源とビジネス旅行」などだった。
ただ、このランキングは観光客数や観光収入などの規模による評価ではない。いくら外国人観光客が増えたといっても、数だけ見れば日本はトップ10にも入っていない。むしろ、これは、その国がどれだけ国際観光の促進のために前向きに取り組んでいるかを問うものだ。