池の真ん中にあるこの石の祭壇は長辺が11メートルほどの大きさ。メキシコ国立人類学歴史研究所の考古学者、Iris Hernándezらが調査にあたっている。
調査チームによるとこの祭壇は、“宇宙のミニチュアモデル”なのだという。現場は古代メソアメリカ人たちの聖地として祀られた場所で、ワニの女神である「シパクトリ」が原始の海で浮かび上がったことで、空と大地が生まれたとされる神話が残されている。
また、この場所は人間の生け贄を捧げる場所としても用いられていたらしい。古代人たちは雨がほとんど降らなかった年でも、この池を常に水で満たすように灌漑(かんがい)の仕組みを整えていた。現場からは黒曜石で作られた斧や、陶磁器の破片、木炭なども発見された。
また、この祭壇はTlalocと呼ばれる教団が神々を祀った場所だとみなされている。16世紀の資料によると、この場所では1年に1度、雨の神様のために子供が生け贄として捧げられていたという。しかし、今回の調査ではその事実を裏付ける人骨などは発見されていない。
1000年前の神秘に覆われた祭壇の秘密を解き明かすためには、さらなる調査が必要だ。