グーグル陣営には、かつてのARプラットフォーム「Tango」時代からポッタリーバーンやGAPが参画しており、ARcoreに一本化された今では、あらゆる業種の企業が加わっている。
美容業界でもARの取組みが活発化しており、ロレアルが開発したバーチャルなメイクを試せるメイクアップアプリ「Makeup Genius」は2000万ダウンロードを記録した。他にもセフォラやシャーロット・ティルベリー、リンメルがAR機能を導入している。
Jonesは、ARを使って商品の原産地などの情報を提供したり、体験型のストーリーテリングを通じてブランドの提供価値をユーザーに伝えるAR体験も有効だと考えている。
バーバリーがARkitを使って開発したiOSアプリでは、アーティストのダニー・サングラによるデジタルイラストレーションを自身のカメラの画像に重ね、SNS上で友人をシェアすることができる。
ファッションショーを自宅に
ティム・クックは、ファッションショーこそARを活用する絶好の場だと考えている。「ランウェイでは、ドレスを前方からだけでなく、360度から眺めたいものだ」と彼は言う。
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションの「Fashion Innovation Agency」は、クックの発想をさらに進化させることに成功した。同校は、ARスタートアップの「HoloMe」、英国の新興ファッションブランド「RIXO London」と提携し、ユーザーが自宅でスマホを使い、ファッションショーのホログラムを見ることができるサービスを開発したのだ。
「ARは、ファッション業界における商品開発や展示、販売のあり方を大きく変革するだろう。今後、様々なアプリにARが使われ、ファッション業界が再定義されるかもしれない」とFashion Innovation Agencyで責任者を務めるMatt Drinkwaterは述べている。