CBPの報告書で示された重要な点は次の通り。
・CBPの記録では2017年度、米国境監視当局による逮捕数が31万531件、CBPにより入国が許可されなかった数が21万6370件を記録し、前年比で23.7%低下した。
・国境警備活動により米南西部国境地帯で逮捕された人の数は、2000年度の160万人余りから2017年度は30万人ほどとなり、約80%の減少を記録。
・米南西部国境地帯でのメキシコ人逮捕率は継続して減少。2017年度に米国境警備活動で逮捕された人の58%がメキシコ以外の国の出身だった。
・逮捕者は、暴力を理由として中米から逃げてきた人、特に家族連れや若者が多かった。
中南米の人口動態の変化により、米国では10~20年前のような規模の不法入国が今後発生することはない見通しだ。経済学者のゴードン・ハンソン、チェン・リュー、クレイグ・マッキントッシュが執筆した論文によると、メキシコの合計特殊出生率は、1965年の7から2000年には2.5へと低下し、米国の2.1に迫る低水準となっているという。
今後、不法移民の流れを止めるために政治家ができる改革は2つある。いずれも、移民の取り締まり方法には大きな変更を加えずに済むものだ。
1つ目は、合法なビザ(査証)の下、米国の建設現場やホテル、レストラン、造園の分野で年間を通して働くことを合法とすること。労働を最大限保護するため、ビザは雇用主が変わっても有効なものとする。この良識的な改革が実行できなかったために、不法入国を請け負う犯罪組織が私腹を肥やし、危険な国境地帯から入国した人の死亡者数が年間数百人に上る事態となっている。
2つ目の改革は、中米各国政府と協力し、各国市民が米国へと逃げる原因である治安問題を改善することだ。かつてトーマス・ジェファソン大統領は、米国は「(他国で)われわれの友人たちを打ちひしがせてきた状況から逃れようとする全ての人にとって逃げ場となるべき」と語った。殺されるかもしれないような場所に移民を送り返し、米国で保護を求めることを妨げる行為は、この国の政策として不適切だ。