俺たちを合法化しろ、全米フェス熱狂の「移民パンク」の叫び

ゴーゴル・ボルデロのユージン・ハッツ(Photo by Steve Jennings / Getty Images)

反トランプのミュージシャンは少なくない。エルトン・ジョン、セリーヌ・ディオン、ガース・ブルックスらは大統領就任式での演奏を拒否したと報じられた。“ジプシー・パンク”を称するゴーゴル・ボルデロのフロントマン、ユージン・ハッツの場合、トランプの当選直後から大勢の人に次のような質問をされ続けているという。

「『移民の存在を再定義するような曲、 流行に関係なく人間性や思いやりに訴えかけるような曲を作りたくなりませんか?』ってね。『(2010年発売の)前のアルバムに入っている「Immigraniada」みたいな曲ってこと?』と答えるんだけど」

ウクライナ出身のハッツが率いるゴーゴル・ボルデロは、何年も前から世界中の難民の声を代弁してきた。例えば2005年の「Immigrant Punk」は、“Legalize me! Realize me!”(俺のことを合法化しろ、認めろ)と叫ぶ。

「人々が目覚めたことにワクワクしている。こっちの世界にようこそ」とハッツは言う。

8月下旬、ゴーゴル・ボルデロの最新アルバム「Seekers And Finders」がリリースされた。収録曲はトランプの大統領就任前に完成しており、最近の特定の出来事に対するメッセージではない。いずれも普遍的な問いかけに満ちたものだ。

レジーナ・スペクターがデュエットで参加しているタイトルトラックは、“Not all horses are gonna need blinders / Not all seekers will be finders”(ブリンカーを必要としない馬もいる/探しているものを見つけられない者もいる)というフレーズで始まる。2曲目の「Walking On The Burning Coal」は、壮大なストリングスがロックなギターやブラスと絡み合う力強いバラードだ。

ハッツは言う。「今の社会は燃える石炭の上で眠っているようなものだと思わない?」
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編集=海田恭子

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