とはいえ、その学歴ゆえに望む職業に就くことができているこのタイプの女子は、女性の活躍が叫ばれているいまの社会で、今後ますますその牽引役を果たしていくことができるはず。ではどのように身を処すればよりうまくいき、もっとビジネスや社会で役に立てる存在になれるのでしょうか。
そもそも、彼女たちの「取扱説明書」は、意外とシンプルです。高学歴女子のほとんどは、受験勉強というゲームの中で良い点数を取るというルールにのっとって、素直に努力し、優秀なパフォーマンスを発揮してきた人たちです。
ビジネスにおいても、明確なルールが伝えられゴールを理解することができれば、比較的簡単に「やる気スイッチ」が押される、まさに直進タイプの人たちなのです。それに、厳しい受験を経てきた彼女たちは、自分の「やる気スイッチ」の場所も自覚していることが多い。どうしたら自分の沈滞を解消できるのか、息切れせずにゴールまで進めるかを体得しているので、いったん走り始めれば比較的簡単に自走も可能です。
だからマネージメントする側の立場から見れば、本来、組織においても非常に貢献させやすいタイプのはずなのです。
では、問題は何か。それは、受験や就職ではゴールもルールも明確ですが、実社会ではそれらがそれほどはっきりしたものではないということです。実社会では人によってゴールが異なるばかりか、プロジェクトの成功などの短期的なゴールと、人生の幸せといった超長期的なゴールなど、いろいろなゴールが混在します。しかも、ビジネスには点数という絶対的な評価軸がありません。
高学歴を理由に、ビジネスでも期待を背負おわされやすいものの、実はゴールもルールも違う「別演技」なのです。スピードスケートの選手が、フィギュアスケートの演技を期待されているようなものです。
そこで高学歴女子に大切なのが、この受験勉強とビジネスのギャップをいち早く理解して、上手に新しいモードに移行するということ。そこでカギになるのが、いかに早く「上手く負けてる背中」を見つけることができるか、だと思います。
高学歴女子、最近ではさらに高キャリア女子を括って指す「ハイスペ女子」という言葉もありますが、そのロールモデルといえば完璧で仕事のできる人が挙がりやすいかもしれません。しかし、あえて「負けるのが上手い」ロールモデルを見つけることが、ビジネスや社会でも成功を勝ちとる秘訣なのです。勝つことだけを考えてきた受験とは、ここが違うところかもしれません。