ビジネス

2017.12.28

NFLコミッショナーと大企業CEOの報酬を比較 「2億ドル」は妥当か?

NFLのコミッショナー、ロジャー・グッデル(Photo by Boston Globe / gettyimages)

米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)のコミッショナー、ロジャー・グッデルは先ごろ、NFLとの契約期間を延長、2023年シーズン終了までとすることで合意した。米スポーツ専門局ESPNによると、2019年からの5年間の契約総額は、ボーナスを含め約2億ドル(約227億円)と見られている。

グッデルとの契約延長については、選手やファン、ダラス・カウボーイズのオーナー、ジェリー・ジョーンズなどからも反対の声が上がっていた。それほど高額の報酬を提示する必要があるのかどうか、疑問視されていたのだ。

米国では多くの人が日常的に、企業の最高経営責任者(CEO)が受け取る高額の報酬への憤りを話題にしている。主要産業を代表する500社、S&P500種株価指数を構成する各社のCEOたちが2016年に受け取った報酬は、平均1310万ドル(約14億8600万円)だった。一方、全米最大の労働団体、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)によれば、一般的な労働者の平均年収は、3万7362ドル(約424万円)。CEOと労働者の年収の比率は、347対1ということになる。

ただ、巨額を貯め込んでいる組織のトップは他にもいるものの、グッデルは2019年以降、企業価値が1770億ドルを超え、年間利益が780億ドルに上るIBMのジニ・ロメッティCEOをはじめ、多くの大企業のトップを上回る報酬を受け取ることになる。S&P 500企業のトップでも、2016年の年収が4000万ドルを超えた人はわずか10人だ。

2016年の米企業CEO報酬ランキング


*フィリップ・ドーマンは同年中に解任 
出典: AFL-CIO

NFLのプレーヤーたちは、グッデルが下す処分に一貫性がないように見られることを非難している。ファンは試合開始前の国歌斉唱時の選手らの抗議行動に対し、グッデルが取った対応やその他のさまざまな問題について、契約延長を厳しく批判している。だが、それでもグッデルがトップであり続けることを歓迎している人たちがいる。

NFLの各チームのオーナーたちは、グッデルの就任後にチームの利益が増え、資産価値が上昇したことを評価している。テレビ局との放映権の契約料は急増しており、選手らとの労働契約においても、リーグ側に有利な条件での合意を取り付けている。それにより、チームの営業利益は平均1億ドルを超え、資産価値は平均25億ドルに引き上げられた。これらの金額が、グッデルが5年間の契約延長と破格の待遇によって報いられる理由だ。

編集=木内涼子

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