ライフスタイル

2017.12.09 11:30

喰い改めよ! 「食事」を「食餌」にしないために


どうして食事をするのか? それは、食卓にあるもう一つの栄養、会話のためです。人にとっての一番のエネルギーは実は食材からの栄養だけではなく、食事をする事で生まれる会話です。

忙しいからといって、簡単に一人で食事を済ませてしまう。栄養のあるもの、美味しい料理さえあればいいだろうと、食を共にする人との時間を大事にできない。その結果、いつの間にか、食が餌になっていませんか?

エアビーアンドビー、ウーバー、メルカリなど、これだけシェアリングエコノミーが流行り、物を持たない時代から物をシェアする時代に変わってきている今。そろそろ物だけのシェアだけではなく、事のシェアの大切さに気づくべきなのではないでしょうか。

食を通じて育むということ

1日に3回チャンスのある食事の時間。ビジネスで忙しい人であればあるほど、大切にしたいと思っているはずです。でも、時間がないからといって、短時間で調理された味付けの濃いものばかりでは、味覚も心も育ちません。「食餌」でなく「食事」として向き合う、ちょっとした意識改革が食育のきっかけになります。

食には、文化や歴史、健康など様々な側面がありますが、例えば、ルーツを知ってみるということ。僕が拠点とするニースには「ストックフィッシュ」という伝統料理がありますが、このレシピを見たとき、そこにニースの歴史が色濃く反映されていることがわかりました。

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ニースは歴史上さまざまな国の支配を受けてきました。その産物として出来上がったストックフィッシュには、紀元前のギリシア時代を感じるオリーブ、その後のガロ・ローマ時代を感じるサラミ、近世のスペインの時代を感じるトマトやシェリービネガーが使われています。メインの魚は乾燥の鱈。本来地中海では獲れない鱈を用いる背景には、地中海交易があります。

また材料のほとんどが保存食で、保存食の中にある成分の大切さにも気づかされる……と、ひとつの料理から多くのことを学ぶことができます。

食材や料理がなぜ誕生し、なぜその土地で伝承され育んで来られたか。それを検証し、さらにはそこにサイエンスやテクノロジーを取り入れることで、見えてくることは何か。連載を通じて、ニースで得たことを織り交ぜながら、食の世界のいろいろな面を発信していけたらと思います。

食はすべての原点です。だからこそ、喰い改める必要が問われています。


コラムの内容を体験できるセッションの開催が決定! 松嶋 啓介氏が「きのこオムレツ」と「特製ケチャップ」のデモンストレーションをしながら、ビジネスマンが知っておくべき「食の教養」について語ります。



Forbes JAPAN x 松嶋啓介
「おとなの味覚共育 〜欲とうま味〜」

開催日:10月10日(木)
時間:19:00〜21:00(18:30〜受付)
会場:KEISUKE MATSUSHIMA TOKYO(原宿)
参加費:15,000円(税込)※払い戻し不可
*セミナーの内容に合わせた軽食、フリードリンク付
定員:20名
申し込み方法:以下よりチケットをご購入ください
https://keisukematsushima-fj.peatix.com/view

文=松嶋啓介

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