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Founder and CEO of 50 Park Investments.

Photo by Joe Raedle/Getty Images

実店舗を運営する世界最大の小売業者、米ウォルマート・ストアーズの株価が先ごろ、最高値を更新した。

ネット通販大手アマゾンの株価が大幅に上昇する一方で、従来型の小売業者の株価は大きく下げてきたが、ウォルマートについて称賛に値するのは、オンラインショッピング利用者の急増というトレンドを早い時期に認識し、より効果的な競争を目指した戦略的買収を行ってきたことだ。

数年前にオンライン小売業者のジェット・ドット・コムなどを買収するなど、ウォルマートはネット小売市場でのプレゼンスを向上させるための多額の投資を行ってきた。そして、オンラインで買い物をする顧客に対し、(必ずしも値下げではない)非常に競争力あるサービスを提供している。そうした投資は成果を上げており、年末商戦の時期を迎える第4四半期を前に、株価の最高値更新を実現することにつながった。

専門家らの評価

ウォルマートのこうした経営方針について、米投資顧問会社クーリエ・キャピタルのシニア・ポートフォリオ・マネージャーは、次のように述べている。

「彼ら(ウォルマート)は、アマゾンと競争できる規模とサプライチェーン、物流インフラを持った数少ない小売業者の一つだ。ジェットやBonobos(高級紳士服)、Modcloth(ビンテージ衣料)といったEC事業者を買収するなど、ウォルマートはより多くのリソースをオンラインでのプレゼンス向上に注ぎ込むため、戦略的に対応してきた。

さらに、オンラインで提供する商品の品ぞろえの拡充や、注文済みの商品を実店舗で受け取ることができるシステムの構築に投資を行った。顧客は注文後、場合によっては同日中に、商品を実店舗でより簡単に、手数料なしで受け取ることができるようになっている。

こうした戦略的投資が十分に効果を発揮し、利益に反映され、株主への配当金の支払いにまでつながるには時間がかかるものだろう。だが、ウォルマートにはアマゾンにはない実店舗という独自の強みがある。

オンラインで注文した商品の受け取りが可能なウォルマートの実店舗が実際に(近所に)あるということは、その商品を同日中に、またはアマゾンの配送の日時と同じくらい早いタイミングで入手可能であることを意味する。アマゾンで購入する場合と価格の差がほとんどない、または同額ならば、早く商品が欲しい顧客にとっては魅力的な点だろう。

また、生鮮食品の配達やオンライン注文済み商品の店舗での受け取りサービスは、食料・雑貨の売上高ですでにトップのウォルマートもすでに開始している。つまり、アマゾンによる自然食品スーパー・マーケットチェーン、ホールフーズの買収(とそれによる実店舗網の入手)も、その他の各地の地元の食料品店も、ウォルマートに対抗し得る強みはないのだといえる。

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ただし、こうした前向きなニュースの一方で、ウォルマートの先行きには懸念もある。アマゾンの参入は、ウォルマートやその他の小売業者・食料品店への価格引き下げ圧力となり、小売業界全体の収益にも影響を与えるだろう。また、従業員数が多いウォルマートは、賃上げや福利厚生費の上昇による影響を受けやすい。ただ、同社はコスト抑制に常に重点を置いていることから、この問題には他社の大半よりも、うまく対応ができると考えられている」

また、投資顧問会社FindLeadingStocks.comのアナリストは、次の点を指摘している。

「ウォルマートが再び小売業界の主要株になるとは考えにくい。業界にとっては非常に厳しい環境の中で、同業の他社に比べれば相対的な強さを見せており、非常にうまく対応している。われわれの顧客であるヘッジファンドは総じて小売業界に対して弱気であるため、ウォルマート株が52週ぶりの高値をつけたとなれば、このセクターに流入するマネーは大幅に増えるかもしれない」

編集=木内涼子

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