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Dutourdumonde Photography / Shutterstock.com

米小売り最大手のウォルマートが顔認識テクノロジーをどのように捉え、事業に取り入れようとしているかについて、小売業界の専門家の中には強い批判の声があるようだ。

小売業に関するオンラインフォーラム「リテール・ワイヤー」が7月20日に行ったオンライン・ディスカッションに参加した業界の専門家グループ「ブレイントラスト」のメンバーの一人は、「顔認識テクノロジーには数多くの適切な用途がある。だが、(ウォルマートが考える)この利用方法はそれには該当しない」との考えを示した。同様の考えを持つメンバーは他にもおり、ウォルマートの方針に懸念を表明した。

その利用方法とは、ウォルマートが2012年に特許を出願したシステムによる顔認識テクノロジーの用途だ。このシステムは、同社の従業員がレジで顧客の表情からサービスへの不満の有無を確認するのを助けるものだという。

ウォルマートの特許出願書類の要約書によると、顔認識テクノロジーを使用する目的は、顧客サービスの向上。技術を使用するその時点だけではなく、長期的な向上につなげることを目指しているという。

「顧客の生体認証データと取引データを関連付けて見ることにより、店舗に対する不満が理由の購買習慣の変化を検出することができるかもしれない。例えば来店しなくなるといった購買習慣の変化を示すデータと生体認証データを照らし合わせることによって、どのような生体認証データを得たときに顧客への対応が必要なのかを明確に把握できる可能性がある」といった内容が記載されている。

新たな顧客を確保するよりも、既存の顧客を維持する方がコストははるかに少なくて済む。この技術は理論的には、既存顧客を維持するという課題への取り組みに対応するものだ。

ウォルマートはまた、この技術を人件費削減のためのツールとすることを想定しているとみられる。文書の中で同社は、「素晴らしい顧客サービスを提供するのに十分な人材を維持するには、非常に多額のコストがかかり得る」ことを認めている。さらに、「余剰人員を抱えることなく、適切な顧客サービスを提供できるだけの十分な人材を維持することも困難だといえる」という。

同社の出願内容について報じた米ウォールストリート・ジャーナルの記事によれば、小売店で働く従業員に代わる自動化技術の利用は増加している。また、シティ・リサーチが2015年に発表した報告書は、米国の小売業界で働く人の3分の2が、2030年までに職を失う可能性があると指摘している。

反対意見

リテール・ワイヤーのオンライン・ディスカッションで示された反対意見には、次のようなものがあった。

「顔認識と生体認証データは、非常に慎重な扱いを必要とする個人的なものであり、ウォルマートがそれらを顧客体験の向上や人件費削減のために使用しようとするのは、あまりに度が過ぎている」

「生体認証データの使用には(特に安全保障上)、大きな可能性があると考える。だが、一部の小売業者が顧客サービスの向上と偽ってこれらのデータを利用する可能性があることには、強い懸念を抱いている」

さらに、ウォルマートが挙げているこの技術やデータの利用目的の中には、従業員の教育や訓練によってはるかに容易に達成できることもあると指摘したメンバーもいた。

編集=木内涼子

 

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