二兎を追って二兎を得る、シンガポール的ライフマネジメント術

Maridav / Shutterstock.com

いま、日本にいる女性たちはたくさんのこと背負っているー。これが今年7月、約1年半ぶりに日本へ一時帰国をした際、私が率直に感じたことでした。

日本は女性に対する期待値がとても高い。政府や企業から『女性の活躍』という言葉がしきりに叫ばれるようになってきてから久しい昨今。社会でも活躍することがより一層求められる中で、家庭でも妻として、また母として完璧であることを期待されているように感じるのは私だけでしょうか。

現在私が暮らすシンガポールの女性を取り巻く環境は、日本と比較するとある意味“気楽”かもしれません。限られた労働力で国を運営していかなければならなかった国の歴史的背景もあり、女性がライフイベントに関わらず仕事をしていくことを前提に、社会の仕組みやインフラがつくられています。

そんな環境もあってかシンガポールでは仕事も家庭も両方大事にしながら上手くマネジメントしている女性、それでいてひとりの女性として人生を楽しんでいると感じられるロールモデルにたくさん出会うことが出来ます。

フェニー・メイナードさんは、そんなロールモデルのひとり。インドネシア出身でシンガポール国籍を取得されている彼女は現在37才。米国系不動産投資関連会社のWalton Internationalシンガポール支社のシニアヴァイスプレジデントとして、同支社の実質半数となる約50名のセールスチームを率いるトップとして活躍しています。


Walton Internationalのフェニー・メイナードさん

いつもキャリアウーマンらしい素敵な装いで生活感をまったく感じさせないフェニーさんは、大学の同級生だった夫との間に10歳と8歳、二人の女児を持つ母です。

どうしたら仕事と家庭を両立させ、「二兎を追って二兎を得る」ことができるのでしょうか。そこにはシンガポールならではのライフスタイルにも関連する2つの考え方がありました。

自分ではなくていいことはアウトソースする

シンガポールでは、一部の裕福な家庭に限らず、普通の家庭でもパートタイムやフルタイムでメイドを雇って家事のサポートをしてもらうことがごく一般的です。その費用は、パートタイムの場合は1時間あたり約1200〜1600円、フルタイム雇用では月額8万〜9万円程度(メイドの食費など含む)です。

フェニーさんの場合はフルタイムの住み込みのメイドを雇い、食事の支度から洗濯、買い物、子どもたちの送り迎えまで、基本的に家事はすべて任せているそうです。
次ページ > 日本でも家事代行は普及しつつあるが

文=小川麻奈

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事