テクノロジー

2017.11.04 10:00

長野県伊那市で「鹿検知」ドローンコンペ AIで空中ロボに進化

Dmitry Kalinovsky / Shutterstock.com


「この手のドローン・コンペが行われた前例は、日本にはありません。もしかすると、世界的にも珍しいかも。しかも、伊那市という自治体が主導している点も注目すべきだと思います。今回の大会は、日本という国がドローンを本格的に課題解決に実用化していくための、モデルケースになると思いました」(大会に参加したチーム関係者)
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なかでも興味深かったのは、参加チームのうち3チームが人工知能を採用していた点だ。例えば、参加チームのひとつ「クイック&ガレージ」は、鹿の写真数万点を学習させた人工知能を用意。ドローンで撮影した画像から鹿を瞬時に分析するという、独自のソリューションを披露した。

人工知能による画像判断を行う際には、誤検知、つまり誤って対象を補足することが問題となるが、クイック&ガレージはその点も考慮。人間の目を通じた、2重・3重のチェックが可能なようにシステムの完成度を練り上げていた。

ドローンのプロオペレーターで、チーム「KELEK×F」のメンバーとして参加した十田一秀氏(無人航空業務支援協会:UBAA理事)は言う。
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「コンペなどの競争では、人工知能を使ったシステムはライバルとして脅威です。デモ版を見ても、かなりの精度。誤検知を減らす対策をしっかりと立てているという点にも驚きました。とはいえ、そのようなシステムが実用化されていけば、現場でドローンを飛ばすプロオペレーターたちにとって、有効なツールになると思います。業界的には、ドローンを飛ばすプロオペレーターの数が絶対的に少ないのが現状。そのため、AIのような機械の力を借りて、より効率的に業務をこなす必要があります」

現在、山間部が多いスイスなどでも、ドローンと人工知能をかけ合せたシステムの実証実験が広く行われ始めている。スイスのそれは、要救助対象者をドローンが検知し、救助隊に知らせるという流れが想定されているが、実現の肝となるのは対象を検知する「画像検知・認識能力、すなわちAIの性能だ。

今後、ドローンはAIの力を借りてどう進化してくのか。日本のドローン業界関係者の日々の努力とともに、見逃せないイシューとなりそうだ。

文=河鐘基

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