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South Asia Report

インド・コルタカ(StanislavBeloglazov / shutterstock.com)

日本の新幹線方式を採用するインド初の高速鉄道計画が、いよいよ本格的に動き出した。インド西部グジャラート州アーメダバード、商都ムンバイの約505キロを最速2時間7分で結ぶ計画で、実現すれば現行の3分の1程度と大幅な時間短縮となる。

インド政府は、日本の高度成長のシンボルともなった東海道新幹線を「インド版新幹線」の構想と重ね合わせ、経済発展の後押しにしたいと期待を寄せる。一方の日本政府も、人口減で国内市場が縮小していくことから、海外へのインフラ輸出を積極的に推し進めていく姿勢をとっており、インドでの新幹線導入を成長戦略の足がかりにしたいとの思いだ。高速鉄道計画をめぐり、日印両政府の思惑は一致しているように見える。

だが、順調に滑り出しながらも、その先行きは決して順風満帆とは言えない。日本とインドの描くビジョンにはズレがあり、それが将来的に大きな亀裂にもなりかねないからだ。実現に向けて走りだした「インド版新幹線」の道程には、青信号と黄信号がそれぞれ灯っている。

日印首脳会談のため、安倍晋三首相が政府専用機でアーメダバード空港に降り立った9月13日、アーメダバードの市内はちょっとした興奮状態にあった。

主要な道路沿いには安倍首相とモディ首相の写真が入った歓迎の看板があちこちに掲げられ、中には同行している昭恵夫人が入っているものも。高層住宅からは両首脳の全身をかたどった大型のポスターが掲げられ、到着した安倍首相夫妻はモディ首相と小型のオープンカーに乗り、沿道に大勢の人が押しかける中を、中心部に向けてパレードをしたのだった。


アーメダバードを訪問した安倍首相と昭恵夫人(Photo by Getty Images)

日本の警備当局は「パレードをやるとは直前まで知らされていなかった」と頭を抱えていたが、グジャラート州はモディ首相が知事を務めていた「お膝元」。共産圏の指導者張りの凱旋ムードに日本側は終始押されっぱなしだった。

だが、そうしたインド側の対応に頭を抱えていたのは警備当局者だけではなかった。首相に同行してきた国土交通省の幹部もまた、困惑の表情を浮かべていた。国交省の幹部が同行してきたのは、首脳会談の主要テーマの一つが高速鉄道計画で、翌14日には「目玉行事」として高速鉄道の起工式が予定されていたからだ。そのために日印で周到な準備を行ってきたにもかかわらず、直前になってインド側が高速鉄道の開業時期を当初の「2023年」から「2022年」へ、一方的に変更してきたのだった。

変更の理由を尋ねても、幹部は「聞いていない」「わからない」と繰り返すばかり。インドのメディアは「高速鉄道の開業は、2022年の独立記念日(8月15日)にしたい」との政府高官の言葉を伝えていた。地元記者は「(2022年は)インド独立から75年の節目。そこに標準を合わせることで、国民に実績をアピールしたいのだろう」と見る。

東海道新幹線が着工から完成までにかかった期間は5年半。インドの高速鉄道は2018年に着工されることから工期は4年半しかなく、日本政府の関係者からは「そんな短期間でできるはずがない」との呆れ声も聞こえてきた。

文=佐藤大介

 

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