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2017.10.21

南極海に出現した「巨大な穴」の謎 潜水ロボットが調査中

Denis Burdin / shutterstock

南極海を覆う分厚い氷に巨大な穴が出現し、科学者たちを驚かせている。穴の大きさは米国のメイン州の広さに匹敵し、そのサイズは約8万平方キロメートルに達している。昨年の同じ時期にも、これよりやや小さめの穴が出現しており、科学者らはこの原因を突き止めようとしている。

この現象は専門用語でポリニヤ(polynya)と呼ばれ、海面を覆う巨大な氷に割れ目が生じることを意味する。1970年代に南極のウェッデル海に出現したポリニヤは、今回の穴の数倍の規模で、数年にわたり存在した。

今回のポリニヤを発見したのはプリンストン大学の研究チームで、水中に潜行可能な特殊なグライダーのようなロボットでデータの収集を行った。ロボットは海水の塩分や温度、水圧等を調べ、衛星を経由してそのデータを送り届けている。

今回の巨大な穴は、温かい海水が海底から湧き上がることにより形成された。温かい海水は氷を溶かし、温度が低下した後に海底に沈むが、また新たな温かい海水が海の底から湧き上がる循環が起こっている。この循環が続く限りポリニヤは存在し続けることになる。

しかし、研究チームはどういう仕組みでこの現象が起きたのかを把握できていない。今後もロボットを用いたデータ収集を続け、人間には立ち入ることができない冷たい海の内部で起きていることを、解き明かそうとしている。研究者らはロボットで収集したデータと衛星からの写真で、原因の究明にあたっている。

地球の気候変動との関わりも指摘されてはいるが、これまでのところ有力な証拠は見つかっていない。南極海に突然現れた巨大な穴には他にも様々な謎が存在している。穴の正体が解き明かされるまでには、まだ長い時間がかかりそうだ。

編集=上田裕資

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