シャトー・マルゴー。ボルドーのワイナリーは、「シャトー」(フランス語で「お城、大邸宅」の意味)の名のとおり、豪華なお屋敷が敷地内にある。
ボルドー以外の産地でも、カベルネやメルロー主体の赤ワインが「ボルドーブレンド」と呼ばれるように、ブレンドしてワインを作るのもボルドーワインの特徴だ。複数のブドウ品種、畑の区画、ワインの醸造方法など、様々なタイプのワインを配合して一つのワインを作る。
まずはブドウ品種。たとえば、赤ワインの主要品種のカベルネ・ソービニョンとメルロー。タンニンがあり骨格がしっかりした、黒系果実が特徴のカベルネ・ソービニョンと、柔らかくまろやかな口当たりで赤系果実が特徴のメルローは、お互いを補完しあう。また、ブドウが成熟するのに時間がかかるカベルネ・ソービニョンは、収穫前の秋雨にさらされるリスクがある。これに対し、メルローは早く熟し、収穫も早い。カベルネ・ソービニョンの収穫が難しい年に、それを補うことができるなど、実利的な理由もある。
トップ生産者は、別々の容器で醸造した何種類ものワインをブレンドして、最終的なワインの味わいを決める。ブドウの品種、さらに畑の区画ごとにブドウを収穫し、その年の出来と個性を考え、最適な配合を決めるのだ。ワインを熟成させる木樽にも、様々な種類がある。木の産地や種類、樽生産者、樽の焼き具合(トーストレベル)、樽の使用年数などにより、ワインに与える風味が変わってくる。こだわっている作り手は、様々な種類の樽を使い分け、それらをブレンドし、最終的な味わいに複雑さを出す。
一方で、機械化されたプロセスで、なるべく手をかけずに生産されるワインもある。ボルドーワインは、全体の生産量が多い分、価格や品質に大きな幅があるのだ。実際、「シャトー・マルゴー」などの第1級格付けワインは、全体の生産量のごく一部だ。
お手頃な価格で良質なワインもたくさんある。最近では、ボルドーワインのプロモーション団体である「ボルドーワイン委員会」が、1本、千円台から4千円以下の価格帯の「バリューボルドー」を勧めている。味わいと価格のバランスが取れた、こういったボルドーワインを味わってみるのもよいかもしれない。
参考:ボルドーワイン委員会によるバリューボルドー100本
(https://www.bordeaux-wines.jp/value-bordeaux/2017/list/)
島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
連載記事一覧はこちら>>