いま、改めて考える「ボルドーワイン」の魅力

ボルドーを代表するグラン・ヴァン

ボルドーワインは、ブルゴーニュワインと並び、世界に数あるワインの中でも一番の知名度と歴史を誇る。

ボルドーワインを買うときは、ヴィンテージ(生産年)に注目してみたい。ボルドー地方は、温暖な海洋性気候。大西洋に近く、比較的雨がよく降る。ブドウの生産量や質が天候に左右され、年ごとのバリエーションが大きい。そのため、同じ銘柄のワインでも、ヴィンテージによって値段に差が出る。

トップクラスのボルドーワインは、長期にわたり熟成する。特に、よいヴィンテージのワインは、そのポテンシャルを十分に発揮するまでに時間がかかる。逆に言うと、若い時に開けても、その魅力を出しきれていなかったり、固すぎて飲みづらいこともある。

1920年代、1940年代、1950年代、1960年代、1970年代のボルドーワインを試飲したことがあるが、長期間熟成したことにより角が取れてまろやかになった口当たりに、複雑なアロマ・フレーバーが織りなす素晴らしいワインで、忘れられない体験だった。

専門家が言う「最適な飲み頃」はあるものの、ワインの好みは人それぞれ。枯れた果実、森の下草やキノコといった特徴が目立つ古いワインを好む人もいれば、フレッシュな果実が前面に出た若々しいワインを好む人もいる。

最近だと2009年、2010年、2015年、2016年のワインがよい出来だとされる。ただ、よいヴィンテージのトップクラスのボルドーワインは価格が高騰するのも事実だ。よいヴィンテージのワインを探すのも一手だが、標準的な年や難しい年の良質な作り手のワインは、お得感がある上、早くから楽しめる場合もある。

また、シャトー(生産者)によっては、そのシャトーの最高品質のワインから作ったファーストラベルのほかに、セカンド、サードラベルのワインを生産している場合がある。セカンドやサードラベルのワインは、ファーストラベルほどの複雑性や長期熟成の可能性はないものの、より手ごろなお値段で購入でき、早いうちから飲み頃を迎えるなど、違った楽しみ方ができる。


シャトー・ラトゥールでの試飲:右がファーストラベル、中央がセカンドラベル、左がサードラベル。(2017年10月撮影)

ボルドーのワイン産地は、広い地域にわたり、フランスのAOC(原産地呼称統制)ワイン生産量で第1位。広大な地域ゆえ、地勢や土壌は一様ではない。特に、ボルドー地方に流れる河川が、より細かい地勢と気候、土壌を形成し、それぞれの場所の特徴に合ったブドウ品種が植えられている。

ボルドーの赤ワインは、カベルネ・ソービニョン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド等のブドウ品種から作られている。大まかにいうと、砂利質の温かい土壌のジロンド川の左岸には、カベルネ・ソービニョンが多く植えられ、粘土質の冷たい土壌が広がる右岸には、メルローが植えられている。白ワインは、ソービニョン・ブランとセミニョン品種が主体。
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文=島 悠里

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