両社の株価の値動きは、銘柄としてのスターバックスを長期にわたってウォール街の勝者にしてきた同社のファンや、忠実な投資家たちにとって大きな驚きとなったはずだ。それぞれ株価の値動きとウォール街の見方の変化が一時的なものか、あるいはより深刻な意味を持つものであるのか、現時点で明確に述べるのは難しい。
ただ、今の段階で言えることもある。それは、スターバックスが規模と範囲のいずれにおいても、すでにその優位性の限界に近づいたということだ。スタバの店舗数は2万7000近くに達し、提供する商品は255品目だ。一方、ダンキンドーナツは店舗数がおよそ9000、商品の数は32品目となっている。
つまり、今後より効率的に競争していくことを目指し、一層の多様化を図るには、スターバックスはすでに大きくなりすぎているということだ。特に米国市場では、同社の店舗はほぼどこにでもある。営業利益率がダンキンドーナツを下回るのは、そのためだといえるだろう。
一方、スターバックスよりも後から登場し、同じ「第3の空間」の提供をビジネス・モデルとする各国のコーヒーショップ・チェーン(英国のコスタ・コーヒー、ギリシャのミケル・コーヒー・カンパニーなど)との競争も激化している。スタバの売上高の伸びが鈍化する背景にあるのは、こうした要因でもある。
コーヒーショップ・チェーンの巨人となったスターバックスは、成長期から成熟期への転換期にある。利益を大幅に引き上げる余地は、ほぼ残されていない。値動きに勢いがある「モメンタム銘柄」を購入する投資家たちはここ何年間にもわたり同社株を追いかけてきたが、その彼らを今悩ませているのは、この点だろう。
こうした投資家たちはこれから、スタバではなくダンキンドーナツ株を追い始めるのだろうか?それがはっきりするのは、まだ先のことになるだろう。