ダイヤモンドの生成には、極度の高温と高圧が必要とされる。これまで、そのような環境は地球誕生初期の地中深部にのみ存在すると推定されてきた。しかし最新の研究により、従来考えられていたよりも新しい時期に生成されたダイヤモンドがあることが明らかになった。
ダイヤモンドに含まれる不純物や亀裂は、消費者にとっては好ましいものではないが、地質学者には生成時の情報を示す貴重な標本である。
9月下旬、英オンライン科学ジャーナル「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された論文によると、アムステルダム自由大学の研究チームは、マントルを構成する鉱物の一つであるガーネットを内包した、南アフリカ産のダイヤモンド26個を分析。サマリウム・ネオジム法でそれらのガーネットの年代測定を行なった結果、驚くべきことに29億5000万年前の始生代に生成されたものと、11億5000万年前の原生代に生成されたものの2グループに分かれることが判明した。
ダイヤモンドはいずれもデビアス社から寄贈されたものだという。研究者らは世界の他の地域で採集されたダイヤモンドについても分析を進める予定だ。
ダイヤモンドの年代を一般人が見た目で判別することは不可能なため、この研究結果がダイヤモンド愛好家にインパクトを与えることはない。だが、ダイヤモンド採掘に携わる人々にとってはチャンスを意味する。このチャンスの規模をわかりやすくたとえると、ヴァージン諸島のどこかに隠されていると信じられている秘宝が、実はハワイ諸島に存在する可能性も出てきた、と言えるスケールだ。さらなる労力が必要になるが、大当たりする可能性も増える。