新しい価値を持つ社会システム
マクロ的にみると、19世紀に起きた産業革命は西洋文明を急激に発展させた。これにより、その変化から目をそらし、内向きに陥った中国とオスマントルコという2つの巨大国家に代わり、イギリスを中心としたヨーロッパが世界経済の覇権を握ることになった。
その100年以上あと、第二次世界大戦後に、日本はコンシューマー商品を中心とした規格大量生産に注力することで急成長し、「Japan as No.1」と呼ばれるなど、一時は世界経済の中心に据えられた。しかしその時代は長く続かず、1990年代にインターネットが登場するとまた世界は一変し、世界経済の覇権は、アメリカが握ることになった。
歴史を振り返ると、国家は繁栄と衰退を繰り返してきた。繁栄した国家は、自国ファーストを指向したときにその衰退がはじまる。。『「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために』(ビル・エモット著)にあるように、いま西洋は、繁栄の終わりのスタート地点にいる。社会システムそのものが、次の段階に移行をしている。これまで、GDPや経済成長率、経常収支は経済の指標とされてきたが、国の繁盛を表す尺度そのものが変わってしまうかもしれない。今までの社会構造や産業で繁栄してきた国家はどのようになっていくだろう。
より複雑に変化していく未来
いま私たちは、これからの社会システムを真剣に考え、そのシステムの中での新しい価値を探し、創造していく必要に直面している。人類が近い将来人間の能力を超えるテクノロジーと共生していくことを前提にした、新たな社会の構造をイメージし、その準備をする局面だ。
未来とは誰にもわからない未知の世界である。あらゆる不確定な要素が複雑に絡み合い、ほんの少し先でさえ明確な姿は誰にも分からない。科学の進歩だけでなく、地球の気候変動や国連のサミットで採択されたSDGsの国際目標なども変化の元になっていく。これらのことは、また別の機会に。
だからこそ、私たち自身でビジョンを描き、自ら未来を創りだしていかないといけない。これからを生きる子どもたちのためにも。だからこそ未来にはワクワクするし、私たちが創ったそんなFutureをこの目で見てみたいと思う。