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フォーブス ジャパン編集部 編集者

東京大学准教授の松尾豊とアラヤ代表の金井良太

今年1月、日本人で唯一AIの未来について議論する「アシロマ会議」に出席した東京大学准教授・松尾豊氏と、今秋、AIの世界的プレーヤーを東京に集めたシンポジウム「AI & Society」を企画するベンチャー、アラヤ代表・金井良太氏。

両氏が語るAIのグローバルなトレンドと日本企業の現状、これからのビジネスの機会と危機とは?
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金井:いわゆる倫理についての議論の場は、国際的なネットワーク、研究者同士が研究開発で協力していこう、という合意の場にもなっています。人工知能の研究開発の現場としては、世界的な協力関係が出来てくるのでしょうか。それともグーグルのような企業の一人勝ちになってくるのでしょうか。

松尾:インターネットの世界ですとグーグル、フェイスブックが抜きんでていますが、もっとリアルな場での競争になってくると思うので、それ以外の企業も出てくると思います。ただ、産業ごとに独占の構造になるはずです。そこに日本企業が入り込めれば良いな、と考えています。今はまだ知られていない企業も急激に大きくなるのではないかと思います。

金井:アカデミックな研究のクオリティと産業の応用との関連性はあるとお考えですか? 私の活動の半分が研究です。そこから面白いものが生まれるのかもしれない、という期待があります。

しかし、具体的なビジネスの話は、何か新しいものを作る、というよりは、もっときちんとデータを作る。今ある技術を実装していく、というのが重要になっていると思います。ビジネスに応用するのに、そこまで本格的な研究者である必要がないのでは、と思います。世界全体を見たときに、日本に強いAIの研究者がいるべきなのか、それとも別のものと考えてツールとして使える人を増やしていくべきなのか、どう思いますか?

松尾:僕は後者です。やはり、日本の産業が弱っているという面を何とかしようとすると、新しい技術を日本が作り出すことより、世界中で出てきた技術を素早く習得して、真似して、事業にしていくということが重要だと思います。結局、日本の自動車も家電も電子機器も、原理を日本で考えたわけではなくて、持ってきて、それを使ったわけじゃないですか。日本の強みは、元々そうだと思っています。

日本は、いったん国が豊かになってしまったので、プライドが高くなった。社会全体に「認知的不協和(人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感)」が起こっている状態だと考えています。だから変に卑下したり、「我々はすごいんだ」という風になったり。

現実を見るとディープラーニングの技術はグーグルやフェイスブック、カナダの大学が進んでいるし、そこをきちんと真似して利用していけば、大きな産業的チャンスもあります。それをひたすらやっているのが中国です。「真似ばかりしている」と言いますけれども、結局真似している間に、どんどんレベルが上がってAI先進国になっている。このままいくと、ぼくが主張しているものづくり✕ディープラーニングの領域でも、普通に中国とドイツの連合軍に負ける、と思います。

ディープマインドのような組織が日本に生まれるためには?

金井:今の段階では、ディープラーニングの主要な研究者は欧米にいて、負けているのは事実なので、それは仕方がないから受け容れて、それをキャッチアップして、アプリケーションをやっていきましょう、という考え方ですね。グーグルが2014年に買収したディープマインドのように研究はすごいけれど、ビジネスをしている訳ではない、という組織は日本には出てこないのでしょうか。

松尾:ディープマインドはやはり、グーグルという金のなる木を手に入れた企業がバックにいるからこそだと思います。

金井:ものすごい才能が集結していることに、驚異を感じるのですが。

松尾:それも当たり前といえば当たり前ですが、普通に給料が高いですよね。ディープラーニングの技術者は平均年収で3000万円くらいもらっている。また、技術をもった人は、すごい人に惹かれる。だからコアになる人材を集めて、お金を払えばいい人材は来ます。

金井:そういう場所が、アジアにもできれば良いな、と思います。あるティッピング・ポイントを超えれば、人が勝手に集まって来る。「面白いから行ってみよう」となりますよね。

松尾:そんなに難しいことではないと思います。3000万円の給料なんて外資系金融では珍しいことではないですし。国の予算で何十億とか使うのであれば、一人何千万円で50人、100人雇えるはずと、思うのですが、そういうことにはお金を使えないんですよね。建物や設備にお金を出せても、人には出せないのが日本です。ディープラーニングをやる人の数に比べて、GPU(画像処理に特化した演算装置)ばかり買っている。

金井:GPU欲しいですけどね(笑)。確かに給料は上げにくい文化がある。

文=岩坪文子 写真=小田駿一

 

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