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2017.09.26 10:00

経済成長を「GDP」でなく「想像力」で測るという考え方

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原材料の輸出と搾取行為が同一視されることがしばしばあるが、例えばチリは主輸出品である精製銅や銅鉱と引き換えに、大量の自動車を輸入している。銅の実用的用途の源泉になっているファラデーの電磁誘導の法則や、ニコラ・テスラ、トーマス・エジソンらの発明抜きに今のような経済的価値は、銅に宿っていなかったはずである。その意味で、「経済活動にみられるのは『天然資源の搾取』ではなく、『発明家の想像力の搾取』である」とも考えられる。
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さらにヒダルゴは、経済活動の複雑さとそうした経済活動を行うために必要な社会的ネットワークや職業的ネットワークの規模との間には、明確な関係があるという。

「単純な経済活動は、多くの場所でみられますが、複雑な経済活動があるのは、多様化した経済を持つ国のみ。そして、ある地域の経済活動が関連製品へと多様化していくと、ある地域の所得水準はその経済の複雑性の度合いへと近づいていく」

この地域の所得水準の向上と経済の複雑性の関係は、ECIという指標があるからこそ、読み解ける経済的な動き。最後に、ヒダルゴは、自身の考える経済成長の本質をこうまとめた。
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「『経済の消費能力』ではなく、『夢や想像を具象化する能力』こそが、未来の経済発展にとっては不可欠。そして、経済成長の本質とは、情報の成長にある」

経済複雑性指標(Economic Complexity Index:ECI)

MITメディアラボのセザー・ヒダルゴとハーバード大学ケネディスクールのリカルド・ハウスマンが開発した、巨大な経済システムにおける国家の生産力を複雑性から評価する指標。多様かつ稀少な品目を輸出している国ほど、ECIの値は高くなる。そして、その製品が輸出品目の多様な国で生産されているかどうかも計算に組み込まれる。

自動車や精密機器をはじめ、複雑な製品の輸出に大きく頼っている日本は2000年以降、ECIで16年連続1位を保ち続けている。天然資源に恵まれずとも、想像力の結晶化により高度な経済は維持できることを示唆している。


セザー・ヒダルゴ◎MITメディアアーツ・サイエンス准教授。専門は、組織、経済での集団的学習についての分析とモデル開発。著書に『情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて』(早川書房)など。

文=長谷川リョー、フォーブス ジャパン編集部

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