ゴルフスイングと「本質を見抜く力」

デビッド・レッドベターの練習風景


スイングの本質を理解する

上記した1)の「フォロースルーで左肘が引ける」問題を例に見てみます。

これは「左肘が引ける」こと自体が問題なのではなく、他に原因があるのです。

クラブが描く軌道、スイングプレーンというものに関して、見聞きしたことがあるでしょう。 クラブを振り下ろす(ダウンスイングの)際に、クラブヘッドが正しい軌道の外側を通ってきた場合、つまりアウトサイドから振り下ろされてきた場合ですが、クラブヘッドをボールに当てるには、自分の方へ、つまりインサイド(内側)へクラブヘッドを動かさないといけないのです。

もしボールの向こう側(自分の体から離れた側、ターゲットラインの外側)を通ってきてそのまま内側にクラブを移動させなかったらどうなるでしょうか?

そう、ボールの向こう側を振るわけですから、単なる空振りです。

ですからアウトサイドを通ってボールに近づいてきたクラブヘッドをボールに当てるためには、インパクトからフォローで左ひじを背中側へ「抜いたり」「引いたり」しなくてはいけなくなるのです。

つまり「フォロースルーで左肘が引ける」のは、それ自体が問題ではなく、原因が、ダウンスイングの軌道にあるということなのです。​スイング軌道を修正しない限りは、左肘の引けは無くならないのです。

問題の本質を理解しなければ、有効な改善はできない。これはゴルフスイングに限ったことではないでしょう。

あなたの会社がWEB上で何かの商品を販売しているとしましょう。マーケティング方法など工夫し、売り上げを上げることを目指しています。 WEBページの見栄えを良くしたり、様々な販売経路を開拓したりしていても、一向に売り上げが上がらない。 もしかしたら、商品そのものに問題があるのに、それ以外の点を改良して売り上げをあげようとしているのかもしれません。

ゴルフに100%はありえません。風や、ライに加えて、その日の調子などという個人的な要素までが加わってくるからです。 だからこそ、本当の意味での上達を果たすには、ゴルフスイングやゴルフというスポーツ自体の本質を理解することが、とても大切なことなのです。

私がレッドベターから学んだ「スイングの本質を見抜く力」とは、ぱっと目につく表面的な問題ではなく、問題の更に奥にある根本的な問題を把握し、その改善をはかることで、スイングを本質的に向上させる技です。

今回から数回にわたって、「本質を見抜く」ということに関してお話させていただきます。

Text by Akihiro Ishida Edit by Momiji Tobimatsu

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