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I write about the tech of culture and the culture of tech.

Photo by Monica Schipper / gettyimages

海に沈んだメトロポリスの中に入り込んでいくと、「アスター・プレイス」という通りの名前を示した標識が浮いている──。おそらくここはニューヨークだろう。筆者が乗っているのはジュール・ヴェルヌの作品に出てきそうな、おんぼろの潜水艦だ。

太陽光が届かない海底では、古びたスポットライトと自然発光する魚の光ぐらいしか光は無い。遠くから正体不明の奇妙な生き物が近づいてくる。近づくにつれてその巨体と人間の背丈ほどもある鋭い歯が見えるようになった。あまりの光景に私は驚きを隠せなかった。

これは筆者がニューヨークのトライベッカ映画祭で体験した「Arden’s Wake」の一部だ。この作品はVRアニメスタジオ「Penrose Studios」が作ったVRアニメで、壮大で美しく、オープニングには哀愁が漂う。VRベースのストーリーテリングの最先端を導入したタイトルと言えるだろう。

VRでは観客が自由に探索できる世界を作り出すことができる。「Arden’s Wake」では建物の中に入ったり、様々な登場人物の様子を見てみたり、ストーリーを無視してVRの世界を見て回ったりすることもできる。

VR映画を作っているプロデューサーたちは、まだどんなフォーマットが最適か模索している段階だ。観客は自由に世界を見て回れるが、特定の場所に誘導しようとする工夫も見られる。それは登場人物による何らかのアクションであることもあるし、目を引くような照明の当て方であることもある(同映画祭で上映されたBaobab Studiosによる作品「Rainbow Crow」でも同じ手法が見られた)。

「Arden’s Wake」は360度どの方向からも見られる劇場のような設定であることも面白い。舞台は海の上に浮かぶ家が中心で、この家の中に入ったり周りを散策したりすることができる。登場人物を窓の外から眺めれば、自分がまるでスパイになったかのような気分になる。登場人物と同じ場所に立てば、同じ視点から世界を見ることができて共感が深まる。

これだけの主体性とコントロールを観客に与えるには、今の段階ではコンピューターによって生成されたCG動画に頼らざるを得ない。しかし、それも変わる可能性がある。ライトロ(Lytro)などが開発している技術では、HTC ViveなどのルームスケールVRが可能なデバイスを用い、観客が自由に歩き回れる実写動画を生成することができる。

今回のトライベッカ映画祭では、Withinが制作した「Hallelujah」というレナード・コーエンの楽曲のミュージックビデオも上映された。この作品は、まだ初歩的なものではあったが、観客が実写動画のVR空間の中を歩き回ることを実現していた。

編集=上田裕資

 

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