日本は「ラッピング教育」から脱せよ! 乙武洋匡 x 佐俣アンリ

乙武洋匡(左)、佐俣アンリ(右)

日本は南アフリカに似ている! と言っても、なんじゃそりゃ? とお思いだろう。先日、アフリカを旅してきた若きベンチャーキャピタル代表・佐俣アンリ氏と、佐俣氏から「死ぬほどポジティブ!」と評される乙武洋匡氏。

投資と教育という一見異なる視点の二人が一致したのは、「
人は誰しも生まれもって変人だ」という持論。そして、変人ゆえに、社会を変えることができるというのである。


佐俣アンリ(以下、佐俣):僕は南アフリカとケニアに行ったんですが、南アフリカって日本に似ているんですよ。国が成熟しすぎていてベンチャー企業が存在しない。ダイナミックさに欠けるんですよね。でもケニアはイメージ通りのアフリカでした。

ケニアには、明確な課題や危機があるんです。だからそれを解決するために、ベンチャー企業が心血を注いで活動している。一方日本や南アフリカのように国が成熟して問題が複雑化すると、ベンチャー企業が減ってしまうんです。起業しにくくなるんじゃないかな。

乙武:これは僕の個人的な見解ですが、起業家って変わり者が多い気がしませんか?起業はある意味レールから外れることなので。変わり者じゃないと起業しようと思わないんですよ。日本は変わり者が少ないから、そもそも起業しにくい風土なのかもしれない。

佐俣:僕は日本の標準的な教育を受けて育ったんですが、23歳まで自分には個性が無いと思っていたんです。それこそ、自伝を書いたら2行で終わるくらい。でも24歳になったときに気づいたんです。本当はみんな、すごくクレイジーなんだって。



でもそこに“普通の人”というラップをかけてしまっている。日本社会って、このラップをキレイにかけると生きやすくなるんですよね。

乙武:ラップをしているのは窮屈だけど、波風が立たないし、衝突が起きないですもんね。だから日本人は、「このラップをはがしたら大変なことになる」っていう強迫観念を持ってしまう。

佐俣:僕は起業したことでラップがはがれたんです。だから自分のとがった部分を伸ばすことができた。起業することで心が解放されたんです。

乙武:ラップをはがしても、意外に何も起きないんですよね。しかも、そういう人たちが集まって仲間意識が芽生えたり、本当の自分で勝負しているのをお互い認め合ったりできるっていうメリットもある。悪い副作用は何もないんです。

佐俣:乙武さんも、脱ラップ派ですよね。初めて会ったときから、そんな感じがしていました。

乙武:2014年頃ですよね。グロービス開催の「G1サミット」の40歳以下の部。

佐俣:そうそう。僕は中学時代に『五体不満足』を読んでいたので、乙武さんのことは一方的に知っていたんです。一緒に過ごすうちに話すようになったんですけど、会話をしてみるとすごくおもしろいんですよ。この人、死ぬほどポジティブ!モテる理由がよくわかりました(笑)
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インタビュー=藤吉雅春 構成=華井ゆりな 写真=藤井さおり

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