同社の小売・消費者調査部門トップのフレイザー・マケビットは、「物価は2016年の同時期と比べて2.3%上昇している」と指摘。今後もインフレは加速する見通しだと述べるとともに、消費者はより安い商品を探すようになるとして、これらの「中級」スーパーにとっては懸念すべき状況であるとの見方を示した。
英最大の小売業者テスコ(Tesco)はこの期間中の売上高が前期比0.4%減となり、市場シェアは前年同期の28.1%から27.6%に縮小した。テスコは2月26日までを対象としたデータでは、6期連続で売上高の増加を記録していた。
一方、国内2位のセインズベリー(Sainsbury’s)もこの期間中、売上高が前期比0.7%のマイナスとなった。前の3か月間には、約1年ぶりに増収に転じていた。
「ビッグ4」と呼ばれる4社のうち、この期間中に売上高が増加したのはモリソンズ(Morrisons)のみだった(0.3%増)。ただ、市場シェアは0.1%縮小して10.4%となった。米ウォルマート傘下のアズダ(Asda)の売上高は同期間、前期比でマイナス1.8%だった。
格安店は順調
一方、英国に進出しているドイツの格安スーパー各社は、3月26日までの3か月間中にも成長を続けた。
リドル(Lidl)は売上高15%増を記録。前月末までの3か月間の13%増を上回るペースで伸びを記録した。市場シェアは4.9%に達している。
同じくドイツの格安スーパー大手、アルディ(Aldi)の売上高は、14.3%増加。シェアは6.8%となった。同社は1月に英コーペラティブ・グループ(コープグループ)を抜き、国内5位のスーパーマーケットとなっている。
格安スーパーは積極的に店舗を拡大しており、記録的な数の買い物客を呼び込んでいる。カンターによれば同期間中、アルディとリドルは新店舗のオープンにより、来店客数が約110万人増えたとみられている。
問題は「複層的」
英国の「中級」スーパーが今後、多くの苦難に直面することになるのは間違いない。まず、経済情勢が買い物客の財布を直撃する中で、格安スーパーとの競争激化が予想される。さらに、「ビッグ4」はそれに加えて中間層の中でも高所得の顧客層を失いつつあるのだ。
実際に、高級スーパーのウェイトローズ(Waitrose)は3月26日までの3か月で売上高を0.3%伸ばし、シェアを5.1%に拡大している。同社は2009年春以降、売上高を増やし続けている。
当然ながら、スーパー各社にとっては(EU離脱と関連した)ポンド安という大きな問題もある。為替レートの影響で、利ざやが縮小している。