3) ラリー・ペイジ/アルファベット(グーグル)
──「早く、大胆に進め過ぎての失敗だからいいんだ。僕は喜んでるくらいだ。遅く進めたことで、機会を逃したならすごく怒っていたところだ」
[解説] フェイスブックのCOOシェリル・サンドバーグは、グーグル在籍時、非営利団体に関する広告プロジェクトの展開を急ぐあまり、大失敗を犯した。冒頭の言葉は、その一件をペイジに謝罪に行った際にかけられたものである。
「大胆な挑戦の末での失敗ならば、問題ではない」
この方針は「失敗に寛容であれ」という実態を伴わない“標語”ではない。事実、グーグルの歴史は失敗の連続。ラジオ、新聞、テレビの広告は全て大損し、ターゲット広告のみが成功して、数十億ドルの利益をもたらした。
「球だけはたくさん投げているが、壁に当たったのはたった1球じゃないか」
かつてマイクロソフトCEO(当時)のスティーブ・バルマーは、「グーグルは一発屋」と言わんばかりの批判を展開。しかし、ペイジにとっては「球を素早く、たくさん投げること」こそが重要だった。その戦略の正しさは、今日のグーグルの成功が、証明済みである。
──「夢を持つなら、とびきり野心的な方がいい。その方が前に進めるから」
[解説] 「すぐに実行しなければ、アイデアに価値はない」と言い切るラリー・ペイジ。一見、行動を重んじるその姿勢は現実主義者のようだが、彼ほど「夢の価値」を強く説いている人物はいない。
夢は「前に進む原動力」。壮大な夢は、クレイジーな仲間を惹きつける。さらに、野心的であるほど競合が不在でなおさら、前進しやすくなるという。
この認識は実体験に基づく。大学院時代、ペイジは「リンクの引用数を調べれば、サイトの人気がわかる」という仮説の検証方法として、「ウェブ全体をダウンロードし、リンクの記録を取ること」を思いつく。文字通り、夜中に飛び起きてメモしたこの「壮大な夢」に魅了されたセルゲイ・ブリンが仲間となり、グーグルの中核技術「ページランク」と、検索エンジンが誕生したのだ。
あのジョブズをして、「君らは手を広げ過ぎだ」と言わしめたペイジ。多彩な事業展開の原点には、夢を持つことを推奨するペイジ流の哲学があった。
4) サラ・ブレイクリー/スパンクス
──「脆くて弱いままのアイデアは、絶対に世界に晒してはいけない」
[解説] 29歳で女性用パンツ・レギンス等を販売するアパレルメーカーを創業したブレイクリーは、5000ドルから10億ドルのビジネスを創出したアメリカン・ドリームの体現者だ。プロトタイプの作成中は、たとえ完成まで1年かかろうとも絶対に他人へ相談しない。ファクスの訪問販売員から、億万長者になった“行動派”も、アイデアの扱いだけは慎重であれと説く。
5) ブライアン・チェスキー/エアビーアンドビー
──「宣教師は、絶対に商売人には負けない」
[解説] 2008年にエアビーアンドビーをに共同創業し、現在CEOを務めるチェスキー。2011年、クローンサイトを作り、同社の10倍以上に成長させた会社から、サイトの売り込みがあった。自社ビジネスが潰されうる局面で、買い取りを拒否した彼の信念を表す一言。