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2017.03.24 07:00

エアビーアンドビーを迎え撃つ中国「途家」 民泊戦線の行方

エアビーアンドビーの共同創設者兼CEOのブライアン・チェスキー (Photo by Kimberly White / gettyimages)

エアビーアンドビーの共同創設者兼CEOのブライアン・チェスキー (Photo by Kimberly White / gettyimages)

2016年にウーバーが撤退した中国で、エアビーアンドビーは業績を拡大しようとしている。3月22日、エアビーアンドビーの共同創設者兼CEOのブライアン・チェスキーは上海で、中国事業の拡大を宣言した。企業価値300億ドルのエアビーアンドビーは現在60名の中国での従業員を3倍に増やし、投資額も倍増させると述べた。

エアビーアンドビーはまた、最新機能の“トリップ”を上海に導入し中国でのサービス名称を“Aibiying(愛彼迎)”にするとした。この名前は「互いが愛を持って受け入れる」との意味だという。

エアビーアンドビーによると中国からのアウトバウンド旅行客の同社のサービス利用件数は2015年に500%、2016年に142%増加しており、これまでの中国人の海外旅行客の宿泊は530万件を超えたという。中国内でエアビーアンドビーは8万軒の物件を掲載しており、宿泊件数は累計160万回を突破している。中国でのエアビーアンドビー利用者の80%以上が35歳以上で、この割合は他のどの国よりも高いという。

ブライアン・チェスキーは発表の場で「若い世代の中国の顧客にアピールし、新しい世界の見方を提示していきたい」と述べた。

しかし、エアビーアンドビーは中国で厳しい戦いに遭遇しそうだ。中国では競合の途家(トゥージア、Tujia)が45万件の掲載数を誇り、旅行大手Ctripを傘下に収めている。エアビーアンドビーは昨年末に10万件の掲載数を持つ、小猪(Xiaozhu)と買収交渉中であると伝えられた。

また、エアビーアンドビーはかつてウーバーが苦戦したのと同様に、中国の規制当局とやりあう必要もある。これまでに同社は上海や深セン、重慶、広州の当局と覚書を交わしている。昨年10月には現地法人のエアビーアンドビー・チャイナも設立しているが、これはかつてウーバーがとったのと同じ手法だ。

エアビーアンドビーはまた競合らとともに、見知らぬ他人同士が家を貸し借りするというコンセプトを中国人に理解させる必要がある。これはエアビーアンドビーの創業以来の課題だが、中国には特有の文化的障壁もある。

エアビーアンドビーは昨年末に立ち上げた“トリップ”機能を上海から導入し、オペラの舞台裏を観察するツアーも組まれ、これまでに無い体験を顧客らに提供しようとしている。エアビーアンドビーはインドでもトリップ機能を投入し、今週からデリーで利用が可能になっている。

編集=上田裕資

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