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2017.03.15

中国格安ホテルグループ「華住酒店」創業者、資産1千億円突破

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中国のエコノミーホテルチェーン華住酒店集団(China Lodging Group)は2月、桔子水晶酒店(Crystal Orange Hotel)を5億3000万ドル(約603億円)で投資ファンドのカーライル率いる投資家から買い取ると発表した。現在は中国商務部独占禁止局の審査待ちだ。

ナスダックに上場している華住酒店の株価は買収発表後2日で5%上昇し、その後下がったものの、創業者の季琦(Qi Ji)会長が保有する27%の株の時価総額は3月7日に10億ドル(約1140億円)を超えた。

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季琦(Qi Ji)会長/Photo by China Photos/Getty Images

季は華住酒店を中国2位のホテルグループに育て上げた。ユーロモニターの調査によると2015年には580億ドル(約6兆6000億円)規模の中国市場の3.9%を占め、1位の如家酒店集団(Homeinns)のわずか0.1%差にまで迫っている。低価格帯と中価格帯のホテルに特化している華住酒店は、2016年末の時点で中国全土の367都市に3270軒のホテルを保有していた。7つの自社ブランドを経営するほか、2014年から提携している仏大手ホテルチェーンのアコーが持つ5つのブランドのフランチャイズ経営や共同開発を行っている。

買収する桔子水晶酒店は中国国外ではあまり名が知れていないが、2006年の創業で主に1級都市や2級都市に100軒以上を展開している。3つのブランドがあり、価格は一泊20ドル(約2300円)から100ドル(約1万1400円)以上と幅広い。コンセプトもビクトリア様式や古代中国、モダンのほかにもロビーにストームトルーパーがいるSF調など様々だ。

華住酒店の2016年の価格は一泊30ドル(約3400円)以下であったため、桔子水晶酒店を買収することによって7800万人の会員に対してより高価格な選択肢を与えることになる。

桔子水晶酒店の創業者でCEOの吴海(Wu Hai)は2000年ごろ、季が共同創業した中国最大のオンライン旅行会社シートリップの拡大戦略の形成に手を貸したこともある。吴はホテルの予約サービスを提供する中国初の旅行会社を1997年に立ち上げた。買収が完了しても桔子水晶酒店は別ユニットとして存在することになる。

華住酒店の広報は「吴氏には引き続き桔子水晶酒店を率いてほしいと願っているが、ITや会員、事業開発などにおいて支援する」としている。

編集=上田裕資

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