この報告は1989年から2014年まで行われた総合的社会調査(GSS)の結果をもとにしており、これまでは未婚者よりも夫婦の方がセックスの回数が多い傾向にあったが逆転現象が起きているという。夫婦間のセックスの回数は1990年には平均73回だったが、2014年には55回にまで減少し、全米および1度も結婚したことのない人達の平均である59回を下回った。
さらに研究では世代間の比較も行っており、人生の時期によってセックスの頻度が変わることを考慮したうえで、1990年代に生まれた人は最もセックスの回数が少なく、1930年代に生まれた人が最も多いという結果が出た。
ワシントンポスト紙が指摘する通り、アメリカ人が全体的にパートナーを持つ機会が減ったことも影響している。例えば2014年にパートナーと同棲していた人は59%だったのに対し、1986年には66%だった。一方で研究者たちは減少している理由は人それぞれだと見ている。
今回の報告書の主執筆者であるジーン・M・トウェンギはワシントンポスト紙に対し、「不幸せだからセックスの回数が減るのか、セックスの回数が少ないから不幸せなのか。どちらもあるでしょう。結婚生活の満足度にセックスの頻度が関係していることは分かっています。セックスをする人の数が減っているのなら、結婚生活に不満を持っている人が増えていると言えます」と語った。トウェンギは「ジェネレーション・ミー」というやや物議をかもす著書も出している。
一方、ワシントン大学で社会学の教授を務めるペッパー・シュワルツは、アメリカ人のセックスの回数が減っていることの原因に、忙しくてストレスの多いライフスタイルがあると指摘する。「セックスの回数が減っていることの最大の理由は疲労だと私は考えます。ミドルクラス以上の暮らしをするために、多くの人々が仕事を掛け持ちしています。人々の頭の中は肉体的なつながり以外のことであふれており、その傾向は特に1980~1990年代以降に強くなっています」とワシントンポスト紙に語った。
複雑化する生活がセックスの頻度に与える影響を考えると夜も眠れなくなりそうだ。