ビジネス

2017.03.14

大手アクセラレータCEOに聞く 「選ばれる起業家」の特徴

テックスターズの共同創業者兼共同CEOのデビッド・ブラウン。自身も連続起業家で、1社目のピンポイント・テクノロジーズはZOLLメディカルに売却後、旭化成に買収されている。


──他のアクセラレータとの違いは何でしょう?

大別すると、3点ほどあります。

1点目は、他よりもはるかに大きなスケールでグローバルに展開をしていることです。現在、4つの大陸22都市でアクセラレータ・プログラムを展開しています。先ほど、「暮らしている街で会社を育てることはできる」と言いましたが、私たちは起業を志す人たちが住む都市や街でプログラムを行いたいと考えています。

2点目は、法人のパートナーと強い信頼関係を築いていること。小売り大手の「ターゲット」に、金融大手の「バークレイズ」、そしてディズニーなど、スタートアップにとって将来の顧客になりうる大企業とプログラムを一緒に行っています。こうした企業とのアイデア交換やネットワークは、コミュニティづくりに役立っています。

3点目は、実績です。結果を出せていないアクセラレータはごまんとあります。その点、私たちのプログラムに参加したスタートアップの約80%は現在も活動中です。10%は売却してエクジットしています。廃業したのは10%足らず。プログラム参加後の資金調達額は27億ドル以上に上ります。

実績は弊社ウェブサイト上で公開し、毎日更新しているので、参加希望者はそうした情報を知ることができます。他のアクセラレータはそうした情報を明かしていないので、内情を知ることができません。それが最大の違いでしょう。

──投資部門は、通信サービス「ツイリオ」や配車アプリ「ウーバー」のような大型スタートアップに初期投資しています。こうした企業も選考基準に当てはまったのでしょうか?

確かに、いまのツイリオやウーバーを見れば、例外に思えるかもしれません。ただ、彼らと初めて会ったときは、まだアイデアの段階にすぎませんでした。そして、彼らも「チーム、チーム、チーム、マーケット、進歩、アイデア」という基準を満たしていました。だから、会社ができたばかりの段階でシード投資をすることに決めたのです。

──今後のテックスターズの戦略とは。

起業家たちが開発したテクノロジーを市場に提供できるように、世界最大のグローバル・エコシステムを作ることですね。重要なのは、各都市が持つ地元のコミュニティを、国境を超えてつなぐことのできる多国籍の“グローバル・エコシステム”である点です。

住んでいる国に関係なく、起業家には世界に売り出したいプロダクトがあるはず。だからこそ、世界規模のネットワークが必要なのです。

プログラムの特徴
・プログラム90日間への参加
・オフィススペース3カ月間提供
・投資家参加のデモでプレゼン機会
・ネットワークへの終生アクセス権
・参加企業には兌換紙幣10万ドル供与
・普通株6%と2万ドルの交換
・エクイティ返還保証

プログラム卒業生の現在
本社を置くボルダーをはじめ、シカゴやニューヨーク、海外のロンドン、ベルリンでもプログラムを開催している。また、大企業とのコラボレーションが多いのも特徴で、ヴァージンやディズニーとも頻繁に組む。音楽やモビリティ、IoTなどのテーマ毎のプログラムも。

主なパートナー企業
ディズニー、PwC、バークレイズ、アメリカン航空、フォード、R/GA


テックスターズ(Techstars)◎2006年創業、米コロラド州ボルダーに拠点を置くアクセラレータ(起業支援プログラム)。Yコンビネータや500スタートアップスと並び、起業志望者に高い人気を誇る。起業イベント「Startup Week」や「Startup Weekend」も運営している。

インタビュー=フォーブス ジャパン編集部 、写真=レベッカ・スタンフ

この記事は 「Forbes JAPAN No.32 2017年3月号(2017/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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