7. 手根管症候群に対するレーザーはり治療。複数の先行研究で、効果がないことが確認されている。うち一つの研究では、「さらに厳密な研究が必要とされる」との結論が出されているが、望みの薄い治療法の検証に時間をかける必要はないのではないか。
8. うつ病に対するはり治療。多くの研究が存在するが、大半に「高い偏りのリスク」があり、全てにおいて、はり治療はうつ病に効果がないとの結論が出されている。なんとも憂鬱な話だ。
9. 変形性関節症に対するはり治療。驚くべきことではないが、変形性関節症におけるはり治療には、プラシーボ以上の効果はない。
10. ベル麻痺(顔面神経麻痺)に対するはり治療。8件の試験が行われたが、いずれも信頼できる効果は確認されなかった。患者にこれ以上の試験を強いるのは残酷かつ非倫理的だろう。
問題があるとされた医療行為156種の全リストを知りたい方は、元の論文(執筆者:Adam G Elshaug、Amber M Watt、Linda Mundy、Cameron D Willis)を参照してほしい。論文で問題視されたはり治療はこれら10種のみだが、これ以外にも多くの症状について、はり治療が効くとうたわれている。
つい先月にも、はり治療が片頭痛に効くとの研究論文がJAMAインターナル・メディシン誌に発表されたが、その発信元は、はり治療を支持する研究論文しか執筆されない中国だった。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のエイミー・ゲルファントは同誌の同じ号に、この研究結果を否定する論評記事を寄稿している。
はり治療に関する研究論文は今後も出てくるだろうが、新たな発見は期待できない。人々は、この時代遅れのえせ科学について、いい加減目を覚ますべきだろう。