コワーキングを再定義する「インダストリアス」 企業利用も促進

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コワーキング・スペースの入居者といえば、通常は個人事業主や少人数のスタートアップだ。しかし、全米12都市で展開する「インダストリアス」(Industrious)は、既に別の場所にオフィスを構える法人の利用も大歓迎だ。実際、同社のコワーキング・スペースの入居者には、マッシャブル、インスタカート、ピンタレスト、スポティファイといった有名企業が名を連ねる。

「より多様な人々が、快適な環境を共有し、仕事に集中できる場所を作りたい。考え抜かれた空間と、きめ細やかなサービスを提供することで、クライアント企業の従業員たちに生産性を高めてもらいたい」

インダストリアスの運営理念には、共同創業者CEOジェイミー・ホダリのそのような願いが込められている。

ホダリがコワーキング・スペースを立ち上げたきっかけは、前の会社を他社のコワーキング・スペースで運営していた時の苦い経験だ。「会社のメインスポンサーだったイケア財団の代表者とミーティングをすることになり、直前になって『こんな場所にはとても呼べない』と気づいた」。急遽、ミーティングの場所をコーヒーショップに変更した。

その経験から、ホダリはコワーキング・スペースには和気あいあいとしたカジュアルな空間だけでなく、真面目なビジネスにふさわしい重厚な空間も必要であると実感したという。

「企業やコワーキング・スペースの多くが、派手で面白くてふわふわした仕事場を作ろうとしているが、それは大きな間違いだ」とホダリは語る。大多数の人間は、そのような空間に一日中いたら効率的に働けない。そのため、インダストリアスでは重厚な会議室から昼寝用のポッド、パーティスペース、授乳室まで、様々なニーズに対応したスペースを設けた。利用者は、明るいエリアはカジュアルな共同作業用、落ち着いたプライベート会議室はクライアントとの打ち合わせ用、というふうに使い分けできる。

一流ホテルマンから学んだホスピタリティ

そしてバラエティに富んだ設備に加えて、インダストリアスのもう一つの売りがホスピタリティだ。一般企業のオフィス業務には、スナックの常備、新入社員用のデスクの準備、パーティの企画、誕生日祝いといった雑用がつきものだが、インダストリアスでは常駐のコミュニティ・マネージャーがそれらを引き受ける。
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編集=海田恭子

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