さらに、彼らは長年、明らかに「何でも金で買うことができる」という21世紀型のビジネスモデルの中で生きてきた。丁重な扱いも、ソーシャルメディアも記者会見も、たまたま街中で歩いているところ撮影されたはずの服装での写真も、金を使えばどのようにも変えられる環境で暮らしてきたということだ。
国民が大統領一家に望むもの
だが、今この一家は、大統領(とその家族)の立場はそれらとは異なるのだということを理解し始めているかもしれない。ホワイトハウスの住人となる人たちは、他の誰よりも厳密に規範に従うこと求められる人たちだ。
これは、ジョージ・W・ブッシュ元大統領の(未成年での飲酒が問題になった)双子の娘たち、バラク・オバマ前大統領の(大麻吸引疑惑が報じられた)長女マリアが身をもって思い知らされたことでもあった。
特に若いファンが多い有名人には、一定の行動が期待される。一方で、国民は有名人たちがビジネスパーソンであることも理解している。例えば、自己啓発を訴えるレディー・ガガがティファニーのような高級宝飾店の広告に登場しても、ファンはそれによって彼女がどれだけの収入を得るかを問題にしない。
だが、米国民は大統領一家には、ロールモデルであることを求める。大統領とその家族を金で動かすことが可能だなどという考えとは、無縁であってほしいのだ。自身のブランドを宣伝することに力を注ぐトランプ一家の態度は、彼らがロールモデルになり得る力を損なっている。彼らはもはや、単なる有名人ではないのだ。新しい世界に、適応しなくてはならない。