――世界のエンタメ業界の今後5年の見通しは。
大きな機会は、途上国、特に中国にあるだろう。米国ではこの産業は十年間あまり成長していない。平均支出は中国の10倍だが、成長余地は乏しい。一方、中国では成長が始まったばかりだ。中国の映画市場は2016年にやや縮小したが、毎年30%成長を続けてきており、今後も伸び続ける。スポーツ市場も同様に急成長している。今は米国の15分の1しかないが、中国の人口は米国の4倍以上であることを忘れてはならない。
――今後5年でエンタメ事業の売上高をどのくらい見込んでいるか。
グループ全体の6分の1か5分の1といったところだ。しかし、グループの資産価値という面で見れば、3分の1から半分くらいになる。だから我々は今、このビジネスに全力を挙げている。
――映画館チェーン、ワンダ・シネマ・ライン(万達電影院線)の戦略は。
ワンダは世界で初の国をまたいだ大規模映画館チェーンを目指している。今後は国内と世界の両方向に拡大し、マーケットシェアを伸ばす。
――2012年に買収した米国最大の映画館チェーン、AMCの今後の計画は。
海外のM&Aで使っていく。もちろん、ワンダ・シネマ・ラインを使う方が便利ならそうするが、現状では海外ではAMCを押し出したほうがいい。AMCにはそのための資金的なサポートを行う。
――将来の映画館ビジネスはどう変化するのか。
今は変化の真っただ中にある。ポップコーンを売るだけの日々は終わり、ディナーを楽しむ場所にもなるだろうし、他の様々なサービスが提供されるようになる。スクリーンも大きく変わる。かつて高額だったIMAXも今は普及している。
――業界の参入障壁は上がっているか。
そう思う。成長が鈍化し、撤退が増えるだろう。成長の減速は、必ずしも悪いことではない。